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DBさん
DB
レビュアー:
月と地球の壮大なSFの話
SF好きとしては有名な古典もぜひ読んでみなければと手に取りました。
原子物理学者のハント博士はメタダイン社でアイデアマンとして研究をしていた。
トライマグニスコープという技術と研究の結晶を実用化に乗せていたが、その絡みか理由もはっきりとはしないままロンドンからポートランドに呼び出される。
そこでどれだけ金を積んででもそのスコープとスコープを使える技術者をすぐに調達するようにという国際宇宙軍UNSA命令でハント博士が呼ばれたことを知ります。

UNSAのあるヒューストンへ向かったハント博士は、そこで月面調査隊が発見した驚くべき物を目にすることになった。
月には基地が作られていて定期便の宇宙船が運航しており、巨大な宇宙望遠鏡や宇宙軍の施設だけでなくリゾートホテルまで建てられている時代です。
月面調査隊が洞窟の中で発見したのは、深紅の宇宙服をまとった遺体だった。
チャーリーと名付けられたその遺体はどこから見ても人間の者だったが、そのような失踪者が出たという報告はない。
そして研究者はその遺体が五万年前のものだという事実を突き止めていた。

ルナリアンと呼ばれることになったチャーリーについて、そのミイラ化した遺体や持ち物から様々な分野の学者たちが集まって研究が進められていく。
月の別の場所でさらにチャーリーと同じルナリアンと思われる遺体と異物が発見されたことで、彼らの使っていたルナリアン語の解明も進みます。
それによると、彼らはミネルヴァという火星と木星の間にあった惑星で生まれ育ち、ミネルヴァは二つの国に別れて争っていた。
エンジニアだったチャーリーは戦争のために月へと派遣され、そこで命を落とす結果となったようなのですが。

旧石器時代でまだネアンデルタール人もいたはずの地球から月へと飛び立てるような高度な文明があったはずはない。
だが進化の過程を考えると、ミネルヴァと地球とで別々に進化の過程をたどった結果まったく同じ人間の姿に行きついたとも考えにくい。
こちらはまったく異星人の姿をしたガニメアンの宇宙船が発見されたこともあって、仮説が仮説を呼んでいきます。
ハント博士がたどり着いた仮説は、ミネルヴァと月と地球の壮大な物語だった。

基本的に研究所での学術っぽい話で進んでいくのですが、夢があってひきこまれました。
これがアポロ計画の真っただ中で書かれた物語かと思うと感慨深い。
会議中にシガーを吸ってしまうような時代背景が出ている部分もあるが、古典とは思えないほど楽しめるSFでした。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2029 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. Jun Shino2021-09-25 00:10

    マイNo1SFですね^_^いまのところ。ハントがインスピレーションを得るシーン、壮大な木星の光景を想像しちゃいました。天文好きの憧れですね。

  2. DB2021-09-25 09:06

    惑星ミネルヴァの滅亡と月の創成、かっこいいですよね。
    今はガニメデです。

  3. noel2021-10-04 04:44

    20年くらい前に読みました。手こずっていた謎のひとつがカレンダーだったというのが、とても印象に残っています。

  4. DB2021-10-04 07:35

    ガニメアンの言葉を解読するシーンですね。

  5. No Image

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