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追悼・漫画家 つげ義春さん ー あなたは幸せな漫画家でした

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • 義男の青春・別離
  • by
  • 出版社:新潮社
義男の青春・別離
漫画家つげ義春さんが亡くなったのは3月3日。88歳でした。
 新聞報道を引用すれば、水木しげるさんのアシスタントなどをしながら、
 60年代後半、雑誌「ガロ」に暗い叙情やユーモアをたたえた秀作を発表。
 68年の「ねじ式」のような芸術的な前衛作品で注目されることになる。

 「漫画の神様」手塚治虫さんのようなストーリー性のある漫画とは対極にある漫画家として知られるが、
 つげ義春さんは<反>手塚漫画を目指したのではなく、<非>手塚漫画として
 独自の漫画道を歩んだともいえる。
 私がつげ漫画を知ったのは、1976年に刊行された小学館文庫の『ねじ式』が最初だった。
 決してつげ漫画の愛読者ではなかったが、
 その名前は時代をおうことに大きくなってきた印象がある。
 例えば、この『義男の青春・別離』のように老舗文庫の新潮文庫の一冊だし、
 その他の文庫でも今でも書店の棚で途切れることはない。

 先ほど<非>手塚漫画と書いたが、手塚治虫さんが物語小説だとすれば、
 つげ義男さんは私小説ともいえる。
 この文庫に収められた「やもり」「海へ」「義男の青春」「下宿の頃」「別離」は
 自伝的要素が高い。
 しかも、時に「春画」ともいえるコマがあったりして、
 作品に生活の苛立ちが匂い立つようだ。
 現在の漫画、コミックの隆盛には手塚漫画だけでなく、つげ義春さんの世界観が欠かせなかったといえる。

 表題作のひとつである「別離」は、87年の作品でこれがつげ義春さんの最後の漫画となった。
 つまり、漫画が描けなくなって40年近くなる。
 それでも多くのファンがつげ義春さんに魅了されつづけた。
 その意味では、幸せな漫画家だったといえる。
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  • 掲載日:2026/04/28
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