これは絵本作家バーバラ・クーニーの伝記絵本。
バーバラ・クーニーのたくさんの絵本の美しい場面が、この絵本『世界をもっとうつくしく』のベッカ・スタッドランダーの絵に、色や形を変えながら混ざりこんでいる感じだ。ふるさとの風景。旅先の風景。クーニーにとって、これらの景色がどんなに大切なものだったか、振り返るような気持ちで眺めいる。
タイトル『世界をもっとうつくしく』とは、バーバラ・クーニーの絵本『ルピナスさん』に出てくる大切な言葉。
絵本『ルピナスさん』
ルピナスさんことミス・ランフィアスは幼いころ、「世界をもっとうつくしくするために」ひとつ、何かすることを、祖父と約束していた。
高齢になった彼女は、ルピナスの花の種を撒いて歩く。やがて芽をふき育ち、あちこちで美しい花を咲かせることを願いながら。世界をもっと美しくするために自分にできることをしようと願いながら。彼女がルピナスさんと呼ばれたのはそういうわけだった。
ルピナスさんは、やりたいことを思うさまやって生きてきた。自分の暮らしを大切にしていた。そのうえで、「世界をもっとうつくしく」するための種まきだったのだと思う。
そして、こちらの絵本『世界をもっと美しく』
最後のページには、湖のほとりに一面に咲くルピナスの花が描かれている。その向こうに小さなおばあさん(バーバラ・クーニー)の後ろ姿。
あの絵本『ルピナスさん』は、バーバラ・クーニー自身の物語だったのかと、やっと気がついた。
何を求め、何を信じ、どこへ向かうのか。強い信念を軸に、まっすぐに進み続けたバーバラ・クーニーの人生。
『ルピナスさん』のルピナスの花の種は象徴的なもので、必ずしも実際の花ではないはず。
バーバラ・クーニーにとってのルピナスは、彼女が私たちに残してくれたたくさんの美しい絵本だ。
「世界をもっとうつくしく」するために、わたしたちはどんな種を撒けるだろう、あるいは、すでに咲いている花を絶やさないために、これからも育てていくために、何ができるだろう。
絵本は誘いかける。
「ルピナスの花は、毎年どんどんふえていきます」
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