シリーズ物の続編はあまり読まない。というのも①やはり第1作の方が優れている、②未読の作家さんの小説の方が魅力的という理由からです。
なのに、この『キッチン常夜灯』は全部読んでる(本作で4作目)。なぜ好きなのかと考えてみると、食事のシーンに癒やされるからだと思い至った。
美味しい料理は心を癒す。主人公たちも仕事の悩み、日々の疲れを癒しにキッチン常夜灯にやってくる。シェフのおいしい料理と、ソムリエ堤さんの暖かい給仕と会話に心休まる思いがするのだろう。
そして、料理を説明する表現が秀逸なのです。一緒に料理を味わっているような感覚、文章を読んでいるだけなのに舌で味わっているような感覚になるのです。彩りの前菜プレート、デザートガレット、野菜たっぷりのオニオンスープ、等々。
今回の主人公はレストラン「シリウス」池袋店の店長、いつきさんです。この『キッチン常夜灯』シリーズでは、シリウスの女性社員がヒロイン役をリレーしています。
いつきさんは40代半ばで、「シリウス」の女性店長第一号。「女性活躍」方針の前から店長を務めていますが、本社の方針には従い、自分を犠牲にして仕事を優先するという古い考えの持ち主です。若い新任店長が営業会議で意見することに、ちょっと違和感を感じていました。
そんないつきさんですが、仕事疲れの夜に偶然「キッチン常夜灯」を見つけ通うようになります。製菓部のかなめさん、営業のつぐみさん(これまでの主人公で、常夜灯の常連)と料理を食べて話をする仲になります。
わかったことは、シリウスを立て直したいという思いはみんな同じだということでした。一緒にサロンで出すスイーツや季節限定メニューを成功させたことで、自信が持てました。いつきさんは、これからは自分の経験を活かして会社に貢献していこうと心に誓うのでした。
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