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それぞれの作品のちょっとした内容紹介、そして感想というのが実に、独特で面白い。そして、読んだことのある作品については、あーそうですよね、とか、ほーなるほどそう読みますか、とかあれこれと。

やりなおし世界文学
世の中には、「これは読んどかんとあかんやろ」と一般的に考えられている文学作品というのがあって、それがいわゆる名作、というやつなのだろう。
で、『やりなおし世界文学』で紹介されているのは全部で92作品。
わたくし、世の中の平均からすれば本を読んでいる方だと思うのだけど、この中で読んだことがあるのは12作品だけだった、2割にも満たない。
で、「知ってはいたけど様々な理由で今まで読んだことがなかった」(一部は「昔読んだことがあるけど改めて」だが)この92作品を、著者の津村さんは全部読んだわけだ。すごいな。
で、それぞれの作品のちょっとした内容紹介、そして感想というのが実に、独特で面白い。
たとえば

変な人しか出てこない。それも、朝に夕に奇声を発するとか、何かの中毒であるとか、死体をコレクションしているというような箇条書き的変さではなく、だいたい後ろ向きに、自分の変さにとらわれてウジウジしているような感じだ。
(『遠い声 遠い部屋』トルーマン・カポーティ)

とか、

町内の古い大きな家に回覧板を持っていって、上り口でその家の家族が入れ代わり立ち代わり要領を得ない話をしていくのを、知らんがな、どの家もややこしな、と内心うんざりしながら、それでも帰れずに最後まで聞いてしまった、というような話だ。
(『響きと怒り』ウィリアム・フォークナー)

あるいは

どうしてこんな女のことを書くんだ、と思う。更に言うなら、どうしてこんな女が人生に順応できず、おかしくなっていくことなんか書くんだ、とも言える。
(『欲望という名の電車』テネシー・ウィリアムズ)

みたいなのがてんこ盛りだ。
そして、読んだことのある作品については、あーそうですよね、というのと、ほーなるほどそう読みますか、というのがあれこれで、これまた面白い。今まで読んだことのない『ねじの回転』とか『クローム襲撃』とか『ハイ・ライズ』あたりはなかなか面白そうで、読んでみたい(SF多めだな)。
ちなみにわたくしは「名人伝」と「弟子」を含む全4篇が収録された新潮文庫の『李陵・山月記』を持っているのだが、岩波文庫の『山月記・李陵』だと全9篇らしい。何それめっちゃお得な感じ。岩波文庫版を買い直そうかな。
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  • 掲載日:2026/04/06
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