2020年、世界はコロナによって大変に荒れていた。
普通が普通でなくなり、いろんなことを諦め、我慢することが当然とされる世の中になった。
中高生は部活や行事、登校すら制限され、いろんな苦しい思いを抱えていた。
茨城の高校2年生の亜紗は、綿引先生のいる天文部に入りたいと今の高校に入ったのに、肝心の部活動が制限されてしまう。ではこの状況下でどんな活動ならできるのか、やりたいことは何かを天文部の三人で考えている。
渋谷の中学1年生の真宙は、公立校なのに学年で男子がひとりだけなことに肩身が狭い思いをしている。担任は男性で自分に気を使ってくれているのはわかっているが、サッカー部がないこの学校でどうしようか迷っている。
長崎五島列島の高校3年生の円華は、所属する吹奏楽部は同じパート同士でなければ一緒に練習できない状態な上に、自分の家は旅館を営み今も客を受け入れていることで、周りからよく思われていないと知ってしまった。友達からも仲間はずれではないけれど遠巻きにされ、ショックを受け傷ついている。
そんな彼らが星を見ることから繋がりはじめ、オンラインで一緒に「スターキャッチコンテスト」開催を決めた。
今までの日常だったら決して出会うことはなかった。
この空を見上げ、星を見ることで繋がれることを知った。
離れていても同じ空の下、同じ時間に同じ星を見る。
このとってもとっても眩しい青春が、心に落ちるもやもやを吹き飛ばす風を運んでくれる。
このどうにもできないような閉塞感でも、ひとりひとりの少しでも前に進もうとする気持ちが、何かを変えるし視野を広げていた。
確かに繋がっていると思える仲間と同じものを見ている場面では、読んでいるこちらも「いつまでもこの時間が終わらなければいいのに」と切ないくらいに思った。
みんなが心に思った「楽しい」というただただ純粋な気持ち、これがとても大事で尊いもので、かけがえのない体験だと羨ましく思うと共に、ちょっとだけ一緒に自分も望遠鏡を覗いた気持ちにもなれたのが嬉しかった。
この先の未来、きっと彼・彼女らは、また新しく誰かと誰かを繋げられる存在になってくれるんじゃないかな。
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