本書は、「未来を読み解く」ことを、誰でも学ぶことができる学問と位置づけています。
“まえがき”の冒頭に書いてあるこの一言が、本書の内容を端的に表しています。
つまり、この本を読んで学べば私たちの未来が今後どのように展開されていくか、自分なりの考えを持てるようになるのです。
AIやネットワークの進化により、これから数十年の間に社会は激変します。シンギュラリティが起きて超AIが人間に代わって仕事をしてくれるようになり、メタバース世界の拡がりで仮想と現実の境界がなくなる時代。
誰も正確に未来を予測することはできません。だから「自分で未来を見通す力を持って、そんな激動の時代を乗り越えて欲しい」と著者は言っているように感じます。
未来社会についての予備知識がないまま読むと、難しく感じるかもしれません。
大学の授業、それもただ聞いていれば良いだけの講義ではなく、ゼミのようなインターラクティブな授業を受けている感じです。ただ読むだけでなく、理解して自分の考えを整理する必要がありました。
私はプロフィールに「激変する未来に「社会がどう変わっていくのか?」ということに関心があって…」と書いているように、このテーマには以前から興味があって関連本も読んでいたので、何とか“授業?”についていくことができました。
もしこれが本当の授業だったら、単位認定レポートの課題は「自分なりに未来を読み解いて、なぜそうなると予想するのかを解説しなさい」となるのではないでしょうか。
さて本書の内容ですが、前半と後半に分かれてます。前半は、未来を読み解くための材料が提供されています。
宇宙、生命、文化・メディア(人類の歴史)、資本主義、言葉と思考、コンピュータ…いま注目され進歩していて私も興味を持ってきた分野です。未来は過去からの延長線上にあるので、過去からの流れを俯瞰することが大切です。
後半は未来を読み解くための手順と、その手順にそった展開例です。
未来を読み解くための論理(8章)、未来を読み解くためのモデル(9章)、計画されている近未来(10章)、100年ロードマップを描く(11章)、未来に向けたコンセプトを描く(12章)という流れで解説されています。
特に重要なのが「未来を読み解くためのモデル(9章)」で、「ヒトー文化・メディア」共進化モデル、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデル、「革命的進化」モデルについてそれぞれの視点から未来を読み解く考え方が説明されています。
ここまで説明してきたように本書は未来を予想する方法論が書かれたもので、その結果(つまり、どんな未来が来るのか)を記したものではありません。とはいえ、著者の描く未来を窺い知ることはできます。私なりにまとめると、
・現実世界と仮想世界の境界がなくなり、最終的にはほとんどの時間をメタバース上で生活するようになる。メタバース上では全ての人の希望が叶う(生きがい、レクリエーション、贅沢)。
・AIやロボットの台頭でヒトの仕事はなくなり、働かなくても良い時代がくる。生産コストがほぼゼロになることから、企業は利益が得られなくなり消滅する。
・AIネットワークが世界全体を動かし、日常生活(財・サービスの利用)は地域共有共同体<コモンズ>が担うようになる(結果的に国家の存在意義は薄れる)
現在の社会とはかけ離れた世界に戸惑う人も多いと思いますが、30年〜50年後にはこんな時代がやってきます。それに向かって、今日、いまこの時も動いているのです。そんな激動の時代に生きていることを自覚し、備えていきたいと思います。
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