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ビッケはビッケ、いつものビッケでいいじゃないか。

ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケは自分のことを弱虫だと思っている。けど、周りのバイキングのおとなたちは、一言もビッケのことを弱虫だと言うことはない。もちろん、ビッケのパパさん(ハルバル)のように力強いリーダーではないのだが、仲間が窮地に陥った時にこそ、ビッケの本領が発揮されることを彼らはよく知っているからだ。

ビッケ・シリーズの第4作は、巨大ハリケーンに翻弄されたビッケたちが、何と大西洋を渡り、現在のアメリカ大陸(中央アメリカあたり?)に流されてしまい、そこで体験する楽しいお話だ。
もちろん、アメリカ大陸へ最初にたどり着いた(ただし、インドと勘違いしていた)という公式記録をお持ちのコロンブスさんの名誉を傷つけることはない。ビッケたちのは公式記録には載っていないんだもん。加えてハリケーンに飛ばされたなんて、これは“航海” とは言えないしなぁ。

たどりついた先にいたのは、裕福で親切なビンカ人たちの国だった。
最初にいっぱい放たれた矢だって、先っぽは丸いし、バッファローのヒレ肉なんかが結わえれれているし、粘土で作ったきれいなハトも別に結わえられている。
その時、ビッケは思うんだ。
「矢はこういうふうに使わなくってはいけないんだ!」
あ、ちなみにビッケだけはその巨大ハリケーンによって空中に巻き上げられたんだけど、優しい小さな風や雲たちが助けてくれて、友達のアザラシがフラーケのバイキングたちのところまで連れてきてくれていた。ビッケはいろんな人(?)たちから守られ、助けられる。それは、ビッケの今までの活躍によるものだねぇ。

しかし、そんな優しいビンカ人たちのところに別のバイキングがやってきて蹂躙しようとし始める。フラーケのバイキングたちは人数的にもとてもかなわない。さあ、どうする、ビッケ!?

やってきたのはスベーダラというスウェーデンのバイキングで、その首領はスノッペ。髪を金に染め、くるくると巻き毛にして常に美しく威厳を保とうとするばかりか、部下にも匂い、汚れ厳禁を徹底させる、まぁ、独裁的首領。部下からもいじられるフラーケの首領・ハルバルとは正反対だ。

ビッケは窮地に追い込まれ、追い込まれ、もうどうにもならないか! というときに名案が浮かぶ。それに全面協力するフラーケのバイキングたち。

楽しく面白い物語だけど、今のように世情不安定すぎる時(ロシアによるウクライナ侵攻から4年、アメリカによるイラク侵攻とホルムズ海峡封鎖の影響:2026年)にたまたまこの本を読んだものだから、なんだかその不安定さと重なって読めるのはいいんだかどうだか? 
ビンカ人たちの歓迎に感心したビッケの次の言葉は印象的だった。
大物は、こせこせしてないんだね。でも、小物にかぎって、ぐずぐずいって相手につっかかっていくのさ。そして、さいごには、剣をぬいてけんかになったり、戦争をはじめたりするんだ。つまらないことでいいあらそうなんてばかもののすることさ。

「そのとおりだ、ビッケ」と仲間のウルメとともに、言いたくなった。

ついでだけと、ビンカはインカのモジリだろうし、彼らが友好的な民族だったのも、そこに乗じて征服していった者たちがいたのも史実を踏まえてのものだろう。
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  • 掲載日:2026/05/02
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