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子供のためのお江戸科学者列伝

  • おらんだ正月
  • by
  • 出版社:冨山房
おらんだ正月
♣️岩波文庫じゃなくて図版が豊富な冨山房百科文庫を探していた。この前ようやく古本屋で見つけたので、購入。



♠️在野にありながら近世学芸史研究の第一人者であった森銑三の初期の著作。昭和13年(1938年)から小中学生向けの月刊科学雑誌『子供の科学』に連載された江戸時代の科学者たちの記事を一冊にまとめられたもの。



♥️「おらんだ正月」とは、江戸の蘭学者たちによって行われた、太陽暦(グレゴリオ暦)による正月元日を祝う宴の事。森銑三は「芝蘭堂新元会図」で描かれた卓を挟んだ蘭学者たちの賑やかな宴の様子にあやかって、蘭学、医学本草学、土木、探検・発明等の分野で活躍した52名を一堂に会するような本をつくり、彼らの伝記や逸話を開陳していく。



♦️子供向けの読みやすい科学者列伝のような本は数あれど、本書は趣向がユニーク。「江戸の科学者達」と銘打っているように対象となる人物を江戸時代に絞っている。
杉田玄白、平賀源内、関孝和、伊能忠敬、間宮林蔵のようなメジャーな人もいれば、杉山和一検校のような市井の名医まで紹介しているので面白い。
分野の幅も広い。兵学や砲術、土木や害獣対策さえも科学の一分野として取り扱っている。約260年にわたる太平安寧な江戸時代に多くの人たちが理論と実学を積み重ねたおかげで、明治の近代化の下地が出来上がる。

森銑三の人物随筆の面白さについて、かつて書評家、向井敏は、森がアカデミックな分野で活躍する前に、短編小説を書いてたことを紹介し、そういう作家的素質が筆致に現れているのではないかと分析している。なるほどね。
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  • 掲載日:2026/05/02
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