かもめ通信さん
レビュアー:
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私にはこの本の「書評」を書く力量はないが、とても面白く読んだので、まずは紹介まで…と書いてみた。
初めて「左川ちか」を意識したのは、早稲田文学増刊女性号に掲載された詩を読んだときだった。
だがそれは、その詩に強く引きつけられたというよりは、左川ちかとは何者か?という知らなかった事への好奇心だった。
とはいえそういう経緯があったので、書肆侃侃房から全集が出ると聞いたとき興味を持ったし、北海道新聞に掲載された記事(*添付写真参照)を読み、左川ちかが北海道出身であることや、兄が伊藤整の友人であったこと、その伊藤整が彼女の才能をかっていたことなどを知って、ますます興味を持ったのだった。
こういう本はそれほどたくさんは刷られないだろうし、後から後悔しないよう入手できるときにしておかなければと、発売前から予約して手に入れたのだが、同じように考える人が多かったのか、あるいは私が知らなかっただけで、多くの読者が待ち望んだ本だったということなのか(おそらく後者だ)、売上は好調で2か月経たずに既に3刷にいたっているという。
左川ちかは1911(明治44)年、北海道に生まれ。
小樽の女子校に通っていた頃、兄の親友伊藤整と知りあう。
学校を卒業後、兄を頼って上京し、貯金局に非常勤で勤めながら、詩人たちと交流。
18歳で翻訳小説を発表し、その後も勢力的に活動したが、25歳の時、胃がんのため死去。
詩集が入手困難なこともあって幻の早逝詩人として長く神話化されていたが、近年再評価の気運が高まりつつあって、欧米や南米・イスラム圏など海外での翻訳も相次いでいるのだという。
絶版になっていたり、散逸していたりした作品を一冊の本にまとめた本書の構成は、作成年ごとに並べられた詩に続いて、ハリー・クロスビーやジェイムズ・ジョイスらの翻訳詩、ちか本人の散文・日記・書簡が続き、さらにはモルナール・フェレンツやヴァージニア・ウルフの小説や評論の翻訳文が収録されている。
巻末にまとめられた年譜、編者による解題と解説、ブックガイドも充実していて読み逃せない。
まずは詩編から…と、順番に読んでいったのだが、正直なところ詩については、色の使い方が独特だと思いはしたが、今ひとつその魅力が分からなかった。
ところが、後から解説を読み、その後改めて詩を読んでみると、それまで気づかなかったあれこれが浮かび上がってくるようで、新鮮な驚きが。
印象深かったのは、
オルダス・ハクスリーの「イソップなほし書き」もとても面白く、ヴァージニア・ウルフの「いかにそれは現代人を撃つか」(評論)は、書いたウルフもこれを訳そうと思ったちかも最高!だ。
ちかの兄が、伊藤整に彼女との交際を勧めた話や、萩原朔太郎とちかとの縁談を断った話など、当時の文士たちの交友関係が垣間見られる点もまた興味深かった。
だがそれは、その詩に強く引きつけられたというよりは、左川ちかとは何者か?という知らなかった事への好奇心だった。
とはいえそういう経緯があったので、書肆侃侃房から全集が出ると聞いたとき興味を持ったし、北海道新聞に掲載された記事(*添付写真参照)を読み、左川ちかが北海道出身であることや、兄が伊藤整の友人であったこと、その伊藤整が彼女の才能をかっていたことなどを知って、ますます興味を持ったのだった。
こういう本はそれほどたくさんは刷られないだろうし、後から後悔しないよう入手できるときにしておかなければと、発売前から予約して手に入れたのだが、同じように考える人が多かったのか、あるいは私が知らなかっただけで、多くの読者が待ち望んだ本だったということなのか(おそらく後者だ)、売上は好調で2か月経たずに既に3刷にいたっているという。
左川ちかは1911(明治44)年、北海道に生まれ。
小樽の女子校に通っていた頃、兄の親友伊藤整と知りあう。
学校を卒業後、兄を頼って上京し、貯金局に非常勤で勤めながら、詩人たちと交流。
18歳で翻訳小説を発表し、その後も勢力的に活動したが、25歳の時、胃がんのため死去。
詩集が入手困難なこともあって幻の早逝詩人として長く神話化されていたが、近年再評価の気運が高まりつつあって、欧米や南米・イスラム圏など海外での翻訳も相次いでいるのだという。
絶版になっていたり、散逸していたりした作品を一冊の本にまとめた本書の構成は、作成年ごとに並べられた詩に続いて、ハリー・クロスビーやジェイムズ・ジョイスらの翻訳詩、ちか本人の散文・日記・書簡が続き、さらにはモルナール・フェレンツやヴァージニア・ウルフの小説や評論の翻訳文が収録されている。
巻末にまとめられた年譜、編者による解題と解説、ブックガイドも充実していて読み逃せない。
まずは詩編から…と、順番に読んでいったのだが、正直なところ詩については、色の使い方が独特だと思いはしたが、今ひとつその魅力が分からなかった。
ところが、後から解説を読み、その後改めて詩を読んでみると、それまで気づかなかったあれこれが浮かび上がってくるようで、新鮮な驚きが。
印象深かったのは、
しばらく山も海も見ない。山が見たくなつた。風が吹くと何も彼もそのままにほつといて家へ帰りたいと思ひます。真暗な北の海の海鳴りがきこえてくるやうに思はれます。電車の音か知ら。やっぱり海鳴りです。こんな書き出しで始まる、都会にあって故郷を思う「冬の日記」。
オルダス・ハクスリーの「イソップなほし書き」もとても面白く、ヴァージニア・ウルフの「いかにそれは現代人を撃つか」(評論)は、書いたウルフもこれを訳そうと思ったちかも最高!だ。
ちかの兄が、伊藤整に彼女との交際を勧めた話や、萩原朔太郎とちかとの縁談を断った話など、当時の文士たちの交友関係が垣間見られる点もまた興味深かった。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
- かもめ通信2022-06-29 06:36
3か月にわたり開催してきた
祝! #書肆侃侃房20周年 記念読書会 もいよいよ明日まで!
現在参加者25名、93本のレビューが集まりました。
お手持ちに書肆侃侃房のレビューをお持ちの皆様、この機会にぜひご紹介下さい!
https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no418/index.html?latest=20クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:書肆侃侃房
- ページ数:0
- ISBN:9784863855175
- 発売日:2022年04月27日
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