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ここに2010年度小林秀雄賞の選考委員だった橋本治氏のあとがきを紹介したい。”加藤先生は、「みんなで考えてよ、私は手がかりを上げるから」と言っているのでした。”それを知るために、何度でも読み返したい。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ
  • by
  • 出版社:新潮社
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
橋本氏は言っている。
方向は違うけれども、「太平洋戦争を始めるまでの段取りの悪さの検討」も「戦争の悲惨さの訴え」も、、どちらも戦争を「既知の事柄」にしてしまっている点では同じです。かつて経験した戦争を「既知の事柄」にしてしまうと、「なんだってあんな悲惨な結果になった戦争を、日本人は惹き起こしてしまったんだろう?」という疑問が成立しなくなります。「既知の事柄になる」ということは、「それは疑いなく存在した。だからそれを改めて検討する必要はない」ということになってしまって、「戦争があった」以前のことが考えられなくなるーその必要を感じなくなることなのです。
”惹かれる”という漢字を敢えてを使った”惹き起こす”と書かれているこの文章は衝撃的だが、そう、まず考えることの一助としてこの本はあるのだ、と読み終わって痛感した。

戦争は国家間でなされ、国家が究極的にめざすのは、敵対国の憲法原理、すなわち、国家を成り立たせている社会の基本秩序をかきかえること

そして第二次世界大戦の敗北によって日本は、大日本帝国憲法と天皇制という憲法原理を連合国の手で書きかえられ、日本国憲法と象徴天皇制を新たな憲法原理としてし手中にすることとなった
と著者は言う。
これを考えると、今、現政府が出している憲法改正を広く国民が論ずるためには、その大前提として1945年8月15日に敗戦を迎えた戦争について考える必要があるのは当然だろう。

でも私は知らない。「なぜ戦争を選んだか」を。

そしてそれを考える術として、本書は
序論 :日本近代史を考える
第1章:日清戦争
第2章:日露戦争
第3章:第一次世界大戦
第4章:満州事変と日中戦争
第5章:太平洋戦争
に構成され、国際関係や地域秩序を分かりやすいイラスト地図やグラフなどを元に解説されている。

その中には、今まで私が知らなかったことや分からない単語も多くあって、スマホ片手に言葉や歴史を検索しながら読み進めた。
それでも分かったところと分からなかったところがたくさんあって、情けないけれど、たぶん何度か読み返して自分なりに再解釈しないと本当の理解は得られないだろうな…と思う。

それでも加藤先生に手がかりをもらえたことはけして無駄ではないと思う。


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  • 掲載日:2020/08/10
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この書評へのコメント

  1. 独醒書屋2020-08-11 07:33

    この本には「なぜ、戦争をしてしまったのか」、明確に答えは書いてありません。ただ”時代の流れ”というのか、、気付いたら戦争せざるを得なかったことがわかります。私たちはこの歴史から何を学べば良いのか、考えさせられます。

  2. p-mama2020-08-12 07:58

    コメントありがとうございます。毎年、新聞や雑誌で「終戦特集」が組まれ、ステレオタイプの「軍の暴走」が叫ばれますが、今回この本を読んで日清・日露から始まる戦争と経済の関係・時の政権の方向性など、少しずつ少しずつ戦争へ向かっていくことが分かりました。
    平成時生まれ、社会嫌いの我が子たちが「ずるいよね。私たちは昭和も覚えないといけないから。」そう言っていました。でも、本当に学ばなければならないのは昭和なのかもしれません。

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