かもめ通信さん
レビュアー:
▼
「楽園」を失い、再び取り戻す。 祝 #岩波少年文庫 #創刊70周年
その夏、弟のピーターが麻疹にかかったために
トムは叔母夫婦の家にあずけられることになった。
叔母さんたちの住んでいるのは元々大きなお屋敷だった建物を、
幾つかに仕切った賃貸アパートだった。
三階には大家である老婦人がすんでいて、
屋敷の玄関ホールにある大きな古時計もその大家さんのものだという。
トムは麻疹の潜伏期間である可能性があるうちは外出することができない。
病気でもない腕白少年にとって、
一緒に遊ぶ相手もいない見知らぬ家に、
一人閉じ込められるのはとてもつらいこと。
おばさんの料理は美味しいが
一日家でゴロゴロしているばかりでは、夜寝付けないのも当たり前だった。
ある晩、トムは夜中に大時計が13回なるのを聞いた。
確かに13回!
好奇心に駆られ、こっそり部屋を抜け出して時計を見に行ったトムは
月明かりに誘われて扉を開く。
そこには実際にはあるはずのない大きな庭が広がっていた。
夜ごとその庭を訪れるようになったトムは
パティという少女と出会い、親しくなるのだが……。
とても有名な児童文学として
なんとなくストーリーは知ってはいたが実は初読み。
読んでびっくり、これはすごい。
なんとも深みのある物語だった。
「時間」を軸にした物語だとおもって読み進めると
「庭」という「楽園」の喪失と回復を描いた物語でもあって、
トムの視点から読んでいるつもりが
パティの視点で描かれる物語も浮かび上がってくる。
岩波少年文庫の他の巻と同様、巻末には対象年齢が記されていて
「小学上級以上」とあるけれど、
これはやっぱり、
小学生は小学生なりの、
年齢と読書経験をそれなりに重ねた大人には大人なりの
読み方ができる物語なんだろう。
時間をさかのぼって
子どもの私がこの物語をどんな風に受け止めるのかを知ることはできないのが、
少し残念ではあるけれど…。
トムは叔母夫婦の家にあずけられることになった。
叔母さんたちの住んでいるのは元々大きなお屋敷だった建物を、
幾つかに仕切った賃貸アパートだった。
三階には大家である老婦人がすんでいて、
屋敷の玄関ホールにある大きな古時計もその大家さんのものだという。
トムは麻疹の潜伏期間である可能性があるうちは外出することができない。
病気でもない腕白少年にとって、
一緒に遊ぶ相手もいない見知らぬ家に、
一人閉じ込められるのはとてもつらいこと。
おばさんの料理は美味しいが
一日家でゴロゴロしているばかりでは、夜寝付けないのも当たり前だった。
ある晩、トムは夜中に大時計が13回なるのを聞いた。
確かに13回!
好奇心に駆られ、こっそり部屋を抜け出して時計を見に行ったトムは
月明かりに誘われて扉を開く。
そこには実際にはあるはずのない大きな庭が広がっていた。
夜ごとその庭を訪れるようになったトムは
パティという少女と出会い、親しくなるのだが……。
とても有名な児童文学として
なんとなくストーリーは知ってはいたが実は初読み。
読んでびっくり、これはすごい。
なんとも深みのある物語だった。
「時間」を軸にした物語だとおもって読み進めると
「庭」という「楽園」の喪失と回復を描いた物語でもあって、
トムの視点から読んでいるつもりが
パティの視点で描かれる物語も浮かび上がってくる。
岩波少年文庫の他の巻と同様、巻末には対象年齢が記されていて
「小学上級以上」とあるけれど、
これはやっぱり、
小学生は小学生なりの、
年齢と読書経験をそれなりに重ねた大人には大人なりの
読み方ができる物語なんだろう。
時間をさかのぼって
子どもの私がこの物語をどんな風に受け止めるのかを知ることはできないのが、
少し残念ではあるけれど…。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
- この書評の得票合計:
- 44票
| 読んで楽しい: | 9票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 29票 | |
| 共感した: | 6票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント
- かもめ通信2020-08-21 05:37
只今掲示板にて
祝 #岩波少年文庫 #創刊70周年 読書会
https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no379/index.html?latest=20
を開催中。
9月末までの予定でのんびりやっていますので
ぜひお気軽にご参加下さい。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - ef2020-08-21 06:04
この本……、名著だとも聞いていましたし、私のゾーンど真ん中みたいな、幻想小説、ファンタジー系なんですよね?
ところが!
どうしたことか。
読んだんです。
読み始めたんです。
みんながこれほど讃える作品なので、間違いがあろうはずもないのに、挫折してしまったんです(なんか、これで読めなくなったことが逆にトラウマ……とまでは言わないにしても)。
いえ、読み進めれなくなっちゃって。
この本は、必ずもう一度読まなければならないと思っています。
多分、なんだかこの本を読んだ時の体調とか、なんだかそういうことが悪かったのだろうね。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:岩波書店
- ページ数:358
- ISBN:9784001140415
- 発売日:2000年06月01日
- 価格:756円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。























