ぽんきちさん
レビュアー:
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夢の国を作っているのは誰?
東京ディズニーランドが舞台の青春お仕事物語。
21歳の後藤大輔。準社員(アルバイト)としてディズニーランドで働くことになる。
この巨大な「夢の国」には、夢を夢たらしめるための「ルール」がいくつかある。
ミッキーマウスをはじめキャラクターたちは(建前として)着ぐるみなどではないし、サザエさんやポケモンなど、ほかのフィクションに触れることは厳禁だ。
お客(ゲスト)は夢の国の雰囲気に浸りに来るのである。従業員たちは、それを全力で支えなければならない。そんな彼らは、清掃などの裏方やバイトも、すべて「キャスト」と呼ばれる。
主人公の後藤はいささか「天然」である。前向きではあるが、ちょっとズレている。
アトラクションの司会進行役の試験も受けたが、いろいろやらかして不合格。しかし、熱意と笑顔が認められた形で、美装部への配属が決まった。要は衣装の着脱の手伝いや管理、整頓を担う裏方である。実のところ、「夢の国」は慢性的な人手不足でもあるのだった。
物語は、後藤の採用試験から、第1日、第2日、第3日を描く。
これが怒涛の3日間なのである。
1日目はワンダーランドに放り込まれた後藤が悪戦苦闘する。楽しく華やかなテーマパークも裏に回ればてんてこ舞いである。ゲストが遭遇する小さな困りごと、ショーを時間通りに運営するためのあれこれ。文字通り、右も左もわからぬ者が右往左往してこれらを解決しなければならないのだ。
その中で、1つ大きな問題が発生する。
ミッキーマウスの着ぐるみが紛失したのだ。
これは1日では解決しない。2日目に引き継がれ、物語の大きな流れを作っていく。
運営会社上層部のドロドロした部分も絡む大きな事件へと発展していくのだが・・・。
丹念な取材には基づいているのだろうが、これがすべてノンフィクションだとするとここまで書いていいの?と思うような部分もあり、いやいや、そうはいうもののこの辺はフィクションでしょうと思う部分もある。
本家ディズニーランドのキャラクター管理の厳密さはさもありなんというところであるが、好調な東京ディズニーランドを本家があわよくば乗っ取ってしまおうという生々しい下りは少々「えっ」と思わされる。
結局のところ、事件は後藤ら、準社員たちの活躍で解決するのだが、悪役の正社員らがちょっとステレオタイプ的に悪い奴過ぎて、正直なところ、いや、これはないでしょうと思う。
後藤も、当初はちょっと世の中を斜に見ている感じだったのに、1日2日で成長しすぎだろう。黄門様ばりの最後の解決策もそれでいいのかという感じはする。
とはいえ、全体としては、テーマパークを作っているのは、ここを支える働く人全員なのですよ、という王道のお仕事小説ともいえる。
細かいことに目くじらを立てずに、後藤とともに巨大テーマパークの裏側に目を見張り、働く若者の心意気に拍手を送るべきなのだろう。
*表紙絵は楽しげな遊園地の風景ですが、キャラクターたちは一切描かれておらず、このあたりもライセンスと何か関係があるのでしょうか(^^;)。小説の中でミッキーマウスとかディズニーランドとか名前が出てくるのはよかったのかな、とヘンなところが気になったりw
21歳の後藤大輔。準社員(アルバイト)としてディズニーランドで働くことになる。
この巨大な「夢の国」には、夢を夢たらしめるための「ルール」がいくつかある。
ミッキーマウスをはじめキャラクターたちは(建前として)着ぐるみなどではないし、サザエさんやポケモンなど、ほかのフィクションに触れることは厳禁だ。
お客(ゲスト)は夢の国の雰囲気に浸りに来るのである。従業員たちは、それを全力で支えなければならない。そんな彼らは、清掃などの裏方やバイトも、すべて「キャスト」と呼ばれる。
主人公の後藤はいささか「天然」である。前向きではあるが、ちょっとズレている。
アトラクションの司会進行役の試験も受けたが、いろいろやらかして不合格。しかし、熱意と笑顔が認められた形で、美装部への配属が決まった。要は衣装の着脱の手伝いや管理、整頓を担う裏方である。実のところ、「夢の国」は慢性的な人手不足でもあるのだった。
物語は、後藤の採用試験から、第1日、第2日、第3日を描く。
これが怒涛の3日間なのである。
1日目はワンダーランドに放り込まれた後藤が悪戦苦闘する。楽しく華やかなテーマパークも裏に回ればてんてこ舞いである。ゲストが遭遇する小さな困りごと、ショーを時間通りに運営するためのあれこれ。文字通り、右も左もわからぬ者が右往左往してこれらを解決しなければならないのだ。
その中で、1つ大きな問題が発生する。
ミッキーマウスの着ぐるみが紛失したのだ。
これは1日では解決しない。2日目に引き継がれ、物語の大きな流れを作っていく。
運営会社上層部のドロドロした部分も絡む大きな事件へと発展していくのだが・・・。
丹念な取材には基づいているのだろうが、これがすべてノンフィクションだとするとここまで書いていいの?と思うような部分もあり、いやいや、そうはいうもののこの辺はフィクションでしょうと思う部分もある。
本家ディズニーランドのキャラクター管理の厳密さはさもありなんというところであるが、好調な東京ディズニーランドを本家があわよくば乗っ取ってしまおうという生々しい下りは少々「えっ」と思わされる。
結局のところ、事件は後藤ら、準社員たちの活躍で解決するのだが、悪役の正社員らがちょっとステレオタイプ的に悪い奴過ぎて、正直なところ、いや、これはないでしょうと思う。
後藤も、当初はちょっと世の中を斜に見ている感じだったのに、1日2日で成長しすぎだろう。黄門様ばりの最後の解決策もそれでいいのかという感じはする。
とはいえ、全体としては、テーマパークを作っているのは、ここを支える働く人全員なのですよ、という王道のお仕事小説ともいえる。
細かいことに目くじらを立てずに、後藤とともに巨大テーマパークの裏側に目を見張り、働く若者の心意気に拍手を送るべきなのだろう。
*表紙絵は楽しげな遊園地の風景ですが、キャラクターたちは一切描かれておらず、このあたりもライセンスと何か関係があるのでしょうか(^^;)。小説の中でミッキーマウスとかディズニーランドとか名前が出てくるのはよかったのかな、とヘンなところが気になったりw
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:新潮社
- ページ数:276
- ISBN:9784101357515
- 発売日:2008年08月28日
- 価格:460円
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