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DBさん
DB
レビュアー:
日常の小さな謎解きの話
カドブン2022参加書評です。
『氷菓』というタイトルはアイスかかき氷しか思いつかず、でもカテゴリー的にはミステリのようだしと思いながら読み始めた。
主人公の折木はなるべく省エネで生きていく主義の高校生だ。
神山高校という面白い部活が沢山あると評判の高校に進学した折木は、バラナシを旅行中の姉から手紙をもらう。
同じく神山高校の卒業生である姉が所属していた古典部が、新入生が入らないと廃部になるらしい。
「古典部に入りなさい」という姉の言葉は世界の果てからきたものでも絶対だったようだ。

言われるがままに入部届を出した折木でしたが、部室にとりあえず行ってみたら隣のクラスの千反田という名の女子生徒に出合う。
清楚という言葉が似あうような千反田だったが、彼女には古典部に入る「一身上の都合」があった。
部員が二人になった古典部ですが、そもそも古典部とはどんな活動をするのだろう。
そのまま今昔物語か竹取物語の素読でもするのだろうかと思いつつも、特に活動内容も出てこないまま進んでいきます。
古典部には折木の友人であり手芸部に入った副部と、福部に思いを寄せる図書委員の伊原が加わって部員が四人になった。
そして十月に行われる学園祭へ向けて文集を作るという千反田の発案からようやく部活動が動き出します。

どんな文集なのかバックナンバーを探そうと創作し、見つけた第二号の文集は「氷菓」と命名されていた。
三十二年前の文集には、千反田の叔父で七年前に失踪した関谷という男への献辞がのせられていた。
まだ幼いころに叔父と交わした会話を思い出したいという千反田の想いを汲んで、古典部は三十三年前の出来事を探るべく動きだします。

いくらなんでも三十三年前を「古典」とは言わないだろうと思ったが、まあ建前と実態が乖離しているのは部活動あるあるということで流そう。
ミステリーということだったので叔父が実は殺されていたとかいう話になるのかと思ったがそうでもなく、最終的には当時を知る人に話を聞いて過去を掘り起こしていく。
部屋のロックが外からかけられていた謎とか、図書館の本が毎週金曜日に貸し出される謎とかいったミステリーと言っていいのかわからない小さな謎解きが出てくるくらい。
唯一心を惹かれたのは学園祭で手芸部は曼荼羅絨毯を縫うという話だったが、それも深く語られることなく終わる。
灰色もしくは薔薇色の高校時代が遥か昔過ぎて共感できなかったんだろう。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2031 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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