文庫という本の形態はすでに明治時代に発生しているようですが、多くの出版社が始めては撤退ということを積み重ねてきました。
多くの文庫本がその中で絶版となり、中には古書店で相当な値段で取引されているものもあるようです。
中には有名作家の作品が含まれている場合もあり、再刊が望まれるものもありますが、なかなかその期待は叶えられないようです。
そういった、絶版文庫の中から、戦前、戦後、そして1990年以降の「新しい絶版文庫」に分けていろいろな作品を紹介していきます。
なお、著者の近藤さんは国際経済学が専門の大学教授ですが、文庫愛がものすごい方のようです。
戦前の絶版文庫の中には田山花袋、尾崎紅葉などといった有名作家の作品でたまたま文庫は絶版というものもありますが、多くは作家の名前すら忘れられたという場合も多いようです。
ただし、中には忘れ去るにはもったいないようなものも数多くあります。
ポーランドの作家、シエンキエヴィッチの「十字軍の騎士」など、ほとんど作家の名前も忘れ去られていますが、なかなかの内容ということです。
戦後、ドイツのシュミットボンという作家の作品が何冊か翻訳されたことがありますが、ほとんど売れず絶版になっています。
しかし近藤さんはかなり思い入れがあるようで、5ページを費やして解説しています。
ストーリー展開に首をひねる箇所が何か所もある、にも関わらず「ライン地方の豊かな風物が眼前に浮かぶ」描写に引き付けられるそうです。
1990年以降は文庫の新陳代謝も激しくなり、刊行後わずか数年で絶版ということも多くなりました。
そのため、この時期の絶版文庫も何冊も挙げられています。
様々な事情があるのでしょうが、もったいないものも数多いようです。
そのような状況からか、数は少ないのでしょうが文庫マニアというべき人々が出てきて、古書店で絶版文庫を探し回るということもあるようで、中にはかなりの高値で取引されることもあるようです。
ちょっと常人には想像できない世界になっているのかもしれません。
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