どこか心理的な面が面白い。サスペンスフルに、さらり。厳密なミステリというよりは小説を愉しむイメージ。
1950年の作品。シムノンはフランスの著名な推理小説家であり、有名な探偵役はパリ警視庁のメグレ警視。
パリ・モンマルトルにあるショーキャバレー「ピクラッツ」の踊り子アルレットが、早朝警察署に立ち寄り、客のオスカル、という名の男が伯爵夫人を殺害する話をしていたと訴え出る。メグレも話を聞き家に帰すがまもなくアルレットは自宅で死体となって見つかったー。
赤とピンクで彩られたストリップを見せる店から始まった犯罪。謎のオスカルはどこにいるのか、アルレットの生い立ちは、などの情報が徐々に集まる。情報を寄せるいわばバイプレイヤーたちの描き方が刹那的。
そして、ロニョン、リュカ、ジャンヴィエ、ラポワントといった、それぞれクセを持つ部下たちがメグレの命を受けて捜査を全うするのも構成要素の一つだ。
ラスト近くの狭いエリアで場所が移り変わる、焦れたような、結末が近づいてきているようなムードの作り方には上手さを感じた。
ラストはややあっけなく、いわゆる新本格のようなミステリではない。しかし至る所に心理的な効果を感じる部分があり、小説的と思わせる。
メグレに興味を持ったきっかけはふた昔前に人気があったフランス映画監督パトリス・ルコントの「仕立て屋の恋」という作品。引き締まった佳作で、劇場で2回観た。その原作がシムノンのメグレ警視ものだった。
それからメグレものは常に頭にはあったが、意外に入手しにくくて、ここまであまり読めていない。
あまり明るい中身ではなかったが暗くもなく、昔風で、さらさらと読めて、しぶい印象を残すシムノン作品。次に読むのはいつになるかな。。
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