本が好き!ロゴ

閉じる

能に人生をかける主人公の姿と、最後の結末がうまく結びつかない。

  • 跳ぶ男 (文春文庫)【Kindle】
  • by
  • 出版社:文藝春秋
跳ぶ男 (文春文庫)【Kindle】
 物語の最初の舞台は、東北地方の小藩藤戸藩。主人公はその藤戸藩道具役をしている屋島剛。道具役というのは能役者のことをいう。この藤戸藩、殆どの領地が坂になっていて、耕地は狭く、川は流れているが、隣藩に流れつき、そこは潤沢な水があり、広く水田が広がり裕福な藩民の暮らしがある。しかし、藤戸藩は耕地がなくまずしい。

 この剛の3つ年上で同じ道具役をしている岩船保がいる。保は剛の能を指導し、2人は信頼の絆で結ばれた親友同士である。

 この保が陰謀にひっかかり、責任をとって自害する。そしてまだ剛と同い年の藩主が病気で急逝する。保が亡くなって衝撃の中にいた剛に、藩の目付鵜飼又四郎から、剛が藩主になるように命令される。 

 青山さんは、この小説2年かけて、江戸時代の能の世界を徹底調査し、それを能役者として剛に投影。当時の各藩の能への取り組み、能への剛のかかわりを徹底して書き込む。正直。能について全く知識がなかったので、読みこなすのが辛かった。何とその部分が380ページのうち半分以上費やしているのだから。

 この能の探求が、結末とどう結びつけるのだろうかと思いながら、辛い本読みを続ける。

 で、驚いた。江戸幕府では月1回、徳川将軍お目見えの日がある。その日は、江戸駐在の藩の重役や藩主が登城して将軍とお目見えをする。徳川将軍は当日、老中や若年寄など幕府の重鎮からすべて、お目見えお声かけを行う。だんだん近習から、下に落ちてゆく。そして、その後は各藩。藩は親藩、譜代から外様まで。その数300もあったそうだ。

 将軍は疲れいやになる。外様までになると、5人がまとめて謁見。謁見場と将軍との間にはすだれが降りている。そして各藩主は、頭を床につけて、将軍を見上げることはできない。この儀式が、感動的なクライマックスにつながる。

 作者春山は、最初このクライマックスが浮かび、それに能の在りようを結び付けたのだと思う。
プロの文芸評論家から、この作品が絶賛されているが、レベルの低い私には首をかしげてしまう。
  • 本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
  • 掲載日:2026/05/11
投票する
投票するには、ログインしてください。

この書評の得票合計:5

参考になる:5票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

    No Image

    コメントするには、ログインしてください。

    跳ぶ男 (文春文庫)【Kindle】 の書評一覧

    取得中。。。