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もしフスが磔刑に処せられなければ、宗教改革は100年早く始まったのか。

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  • 世界史のリテラシー ボヘミアで、なぜ「先駆的」宗教改革が起こったのか フス派戦争【Kindle】
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  • 出版社:NHK出版
世界史のリテラシー ボヘミアで、なぜ「先駆的」宗教改革が起こったのか フス派戦争【Kindle】
テーマは「フス」である。世界史の教科書でいうと、ルネサンスの直前、中世の最後あたりで取り上げられる人物である。山川の世界史小辞典にはフスは次のように書かれている。

ボヘミアの神学者。プラハ大学総長。(イギリスの)ウィクリフの主張に共鳴してカトリックの現状を批判。ドイツ人司教の追放、聖書のチェコ語訳などでチェック人の強い支持を得た。皇帝から護送特権を約束する「通行許可証」を得ていたのにもかかわらず、異端として磔刑となった。


ルターの宗教改革前史として語られるフスの活動であるが、磔刑にならなければルターのような存在になったのだろうか。この本を読む限り「ノー」だ。

ルターはローマ・カトリックの存在そのものを問うたが、フスはあくまで「教会改革」を求めた。その内容はぜひ読んでほしい。非キリスト教徒とすれば「どっちでもいいじゃん」と思ってしまう「パンとワイン」の問題も絡んでくる。

当時は、日本でいうと南北朝時代のように教皇が並び立つ「教会大分裂」の時代、彼が磔刑に処せられたのはこれを解決すべく開催されたコンスタンツ公会議。ローマ・カトリックの正常化を図るときに、フスのような存在は邪魔でしかなかった。彼は口を封ぜられたのである。

しかし、フスの唱えた教会改革は貴族など領主層には受け入れられていた。なぜなら、教会が縮小すれば自分たちの収入・支配が増えるのである。そして、ボヘミアの地は自主独立の気風が強かった。だからこそ、「フス戦争」が置き、最終的には(穏健)フス派の存在が認められるにいたる。カトリックとフス派の共存は180年続くことになる。

そして、ルターが宗教改革を訴えるとフス派は呼応する動きを見せる。しかし、1618年から始まる30円ン戦争でカトリック勢力に占領されると徹底的な再カトリック化をさせられる。

宗教と世俗との関係について、そして「自分たちはどのような社会に生きたいと思うか」について考える1冊でもある。
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  • 掲載日:2026/04/29
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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2026-04-29 11:30

    宗教というのは非常に厄介なものです。宗教を心の救いだという人もいますが、救った人より殺した人の方が圧倒的に多い。ほんのわずかな教義の違いで互いに争う。私は科学の子なので無宗教です。もし本当に神様がいるにしても、既存の宗教とは全く関係がないでしょう。

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