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機嫌よく日々を送るこの子は、だれが何と言おうと名犬だ

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!免許皆伝
それいけ、ヴォルフガング!
はたらきものたちの村では、犬たちも自分の仕事をもっています。
おまわりさんをたすけるいぬ、ひつじのむれをまもるいぬ、いちばでおつかいをするいぬ……働く犬たちは、その表情からして、きりりとひきしまって、かしこそうではありませんか。
一方、ヴォルフガングときたら!
その表情をみただけで、上記の犬たちとはちょっとちがうとわかる。
顔の筋肉緩みっぱなしというか、舌がずっと出っぱなしで、賢いどころか……トホホな犬なのだ。


だけど、ヴォルフガングは、いつだって楽しそう。いつでも何かにわくわくしている感じ。
頼んだ仕事は端から台無しにしてしまうけれど、一度だって目の前の仕事から逃げ出したことはないのではないか。
それいけ、と言われたとたんに元気いっぱい飛び出すし。失敗しても(たぶん)へこたれないし。
それに、飼い主のおばあさんの言葉どおり、すなおでやさしい犬なのだ。
適材適所ってあるよね。みつけられたらうれしい。
怪我の功名ってのもあるし、瓢箪から駒ってのもあるし……ね。


機嫌よく日々を送るこの子は、だれが何と言おうと名犬だと思う。
役に立つかしこい犬もいいけれど、ヴォルフガングとの暮らしはさぞや楽しいだろう。


働けるかどうかが集団の価値観のかなめになると、働けそうもない人は、それだけで弾かれてしまい勝ち。
だけど、それは嬉しくない、と感じる人たちがきっと昔からたくさんいたのだろう。
寝てばかりの怠け者やド阿呆、親指くらいの小さい人……働き者の村では最初に撥ねられそうな人たちが活躍するお話が、昔からたくさんあったことを思うと。
規格外かもしれない。けれど、あの人にいなくなってほしくない、いっしょに居てくれるだけでいいではないか。そう思っている人がきっとたくさんいたのだろう。
いてくれるだけでいいのだ。予想外の何かが起きたらそれは楽しいけれど、何も起こらなくてもいいや。そのうえ、ご機嫌でいられるって、なんというお大尽。


クラシックな美しい絵本。すみずみまできちんとして、というのではなくて、ところどころ抜けた感じの美しさが好き。もっているだけでうれしい本でもある。

  • 掲載日:2026/04/19
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