日本が無謀な戦争に突っ込んでいったのは80年以上も前のこと。
小学生の頃からいろいろと反戦教育は受けてきたけど、どうにもピンとこなかったのは「戦争はダメだ」というお題目がただただ大きすぎて、具体的に自分ごととして感じられなかったせいだろうか。あるいはこちらの感受性の問題なのかもしれない。
特に21世紀になってから戦争関連でよく触れる媒体はマンガで、例えば『ペリリュー -楽園のゲルニカ』(武田一義、芳文社、全11巻、外伝全4巻)や『この世界の片隅に』(こうの史代、双葉社、全3巻または全2巻)あるいは現在も継続中の『昭和天皇物語』(能條純一、小学館、~18巻)などで知らなかったことがたくさんあるんだ、と思わされた。と同時に、自分だったら? と考えざるをえなくもなる。
このマンガもその戦争時代を描いている。
昭和19年というから、もう食糧などは配給制で、しかも量が減らされてしまっている時代。疎開も当たり前に行われている。
たまさんは、そんな時代に東京から北海道(函館)に嫁いできた。旦那さんはいろんな事情から本家に遠慮しているし、言葉もよく分からなくって隣組でのコミュニケーションもうまくできない。
そんな時に癒してくれたのが、飼い始めたチャペという猫だった。
眼が悪く、兵役は免ぜられていた旦那さんにも容赦なく赤紙が来てしまう戦争末期。
北海道では(なのか全国的なのかは不明)寒冷地で戦っている兵隊さんたちの防寒着用に、犬や猫の毛皮を供出することが命ぜられてしまう。
そして何と、ご近所の犬・猫調査を仰せつかるのがたまさんになってしまうという皮肉。懊悩するたまさん。
一度は胡麻化そうとするが、地区長のような日露戦争帰りのじいさんの目が光っていて困った状況に追い込まれる。
チャペはどうなるのか? そして沖縄へ遣られた旦那さんの運命や如何に???
供出された猫をどうやってあの世に行かせるのか、の描写はさすがに直接はないが、猫に対するのはこん棒を持った男・・・だった。そして逃げ出した犬はピストルで撃たれてしまう。毒ガスなんかじゃないんだ、と思ったけども、そんな余裕のある時代でもなかったのだろう。それにしても悲し過ぎる。
犬や猫のような人間とともに暮らし、人間の心に潤いを与えてくれる生き物に、まるで物であるかのように「供出」の命令が出ていたとは・・・! と、恐ろしさまで感じてしまった。
全4巻。過酷な状況を少しでも軽くという意図があったのか、あるいはそこまで深刻に描くのがしんどかったのか、ギャグっぽい描写もあるのだけども、決して笑えるものではなかった(作者には申し訳ないことなのだけども)。
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