図書館でふと目に止まった1冊。個性豊かなエンタメ小説の達人、伊坂幸太郎が心に留めている短編とはどんなものなのか、楽しみに読んだ。
眉村卓「賭けの天才」
井伏鱒二「休憩時間」
谷川俊太郎「コカコーラ・レッスン」
町田康「工夫の減さん」
泡坂妻夫「煙の殺意」
佐藤哲也「Plan B」より「神々」「侵略」「美女」「仙女」
芥川龍之介「杜子春」
一條次郎「ヘルメット・オブ・アイアン」
古井由吉「先導獣の話」
宮部みゆき「サボテンの花」
の13篇が収録されている。
どことなく星新一を思わせる「賭けの天才」、古き良き大学の様子をユーモラスに活写する「休憩時間」。谷川俊太郎はコーラの缶から宇宙へも飛び現実のオチがつく。
町田康は巻末の編者あとがきによれば言葉を選ぶ感覚が尋常ではなく、小説の不思議さを熟知しているとのこと。たしかにある意味小説らしい丁寧なストーリー立てだし擬音も独特。泡坂妻夫はまたえらい動機を、と読み手をジャンプさせる。佐藤哲也は・・あまり分からなかったかな。散文詩的かと。「杜子春」とそのパロディ「「ヘルメット・オブ・アイアン」の並びは、先に名作をじっくり読めるので関連が分かりやすかった。パロディはぶっ飛んでます笑。
「先導獣」はまた都会の通勤電車の人並みからのイメージがふむ、となる。ここまで名作ありシブい小説あり、想像力を試される作品ありときて、宮部みゆきのほんわかした一篇は締めに最適か。やはり大家、上手すぎる技術を持っている。
短編のキモは余韻、というのは1つの真理かもしれない。短い中で、あるいは短さをも有効な武器としてすべて満足でなくとも心に残る印象を残す。それぞれも、組み合わせもほどよく、読後感よく終了。たまにはこういうのもいいなと。オーシャンラズベリー編もあるそうだから、気にしとこうかな。
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