ちょっと前のニュースでオウム真理教の話が出ていたのと、つい最近の新ノーベル賞の話題でこの作品を思い出しました。
2014年に、30年前の時代を思い浮かべながら読んだ本です。
久しぶりに村上春樹の小説を読みました。
ハルキが好きと言いながら、スプートニク以降の小説は読んでいなかったので。
しかしハルキワールドは健在でした。
妙にリアリスティックでありながら、現実離れした空間。
それさえも現実に思えてしまうほどの世界がそこにあった。
サリン事件の被害者へのドキュメンタリーである『アンダーグラウンド』を読んだときに、小説家としては珍しい仕事もするものだと思ったけれど。
着地点はここだったか。
登場人物は相変わらず似たようなタイプですが、もうこれはお約束でしょう。
少しばかり職業と生い立ちが違っていても、独りでいる方を好みたくさんの本を読んでたまにプールで泳ぐ。
今度の主人公は数学講師兼駆け出しの小説家です。
編集者の下請けの仕事もしている中で、高校生のエリと出会う。
カルトにはいっていた両親と生き別れ、自分の見てきた世界を小説にしたという彼女は大きな胸と綺麗な顔立ちをしたとても変わった女の子だ。
まあ『ダンス・ダンス・ダンス』のユキに似てる。
そして不思議な羊の代わりにリトル・ピープルという存在が浮上。
一方でもうひとりの主人公、青豆という名の女性も登場します。
こちらもなかなか個性的なキャラですね。
普段はストイックに身体を鍛えているジムのトレーナー。
複雑すぎる過去と、公にできないサイドビジネスを持っている。
そして時々爆発したようにストレスを発散する。
しかし彼女は自分のいる世界に微妙なズレを感じていた。
そう、まさに月が二つある世界かのように。
この小説家の話と青豆の話が交互に語られ、その接点が徐々に明かされていく。
今のところこのタイトルとなっている1Q84年の意味と、二人の過去の接点がわかっただけだけど。
しかしふと見上げた夜空に月が2つあったらどうなるのだろう。
思考力の限りを尽くして、新たな宇宙ステーションか小惑星が地球の軌道に乗ったのか考え始めるのかもしれない。
おそらくその事実に納得できるまでは一歩も外に出れなくなるだろう。
普遍的な物事がそうではなくなる時、人間の精神もまた軌道を外れていくものかもしれない。
この書評へのコメント