Kindle 新・読書術 すべての本好きに捧げる本:武井一巳 翔泳社
電子書籍に詳しくない私が電子書籍とは何たるか、を学ぶために手に取った本である。
著者の肩書きはジャーナリスト、一方でパソコン、ネットワーク分野にも
精通しておられる模様。その過程で出会った、kindleを持った事により、
「本は紙でなくても構わないのではないか?」と考えた結果、
自身の蔵書2万冊(!)を手放したというのだから、驚きだ。
著者にとって、kindleは革命的な事だったのだろう。
本書は、著者がkindle(電子書籍リーダー)を実際に使った上での便利な点、
不便な点(p52)をきっちりと把握した上で、話を進めているので、安心して
読めるのは嬉しい。
ところで、本書を読んでいて引っかかった部分がある。それは、
「アマゾンのクラウドに保存されているので、いつでもダウンロードして
再読することができる。」(p40)という一文だ。
文字だけ追うと、非常に便利な機能と言えるが、もしアマゾンがサービスを
止めたり(可能性は低いが)、アマゾン自体が無くなってしまった場合、
一体どうなるんだろう、そのリスクは?と思わせる一文であった。
紙の本であれば、出版社が本の出版を止めても、「本」は残るが相手は電子媒体である。
便利なのは認めるが、本が「相手側」にあるのであれば、本の内容がもしも、
無くなったり、そっと改変されていても気付かないのでは?と想像する。
この辺りは電子書籍初心者の私でも容易に想像できるので、何らかの対策は
講じてあるのだろうが、「物体(本)として無い」ものを信じ切れるか否か、
それが、「今」、電子書籍を使う派、使わない派の一つの分かれ目になると感じた。
とは書きつつも、将来、本よりも電子書籍が一般的な読書スタイルという時が
来るかもしれない。
その時のため、「本」好き読者側も、電子書籍に対する知識、心構えを
持つ必要がある事を思わせた一冊であった。
【リンク(電子書籍について書かれた本)】
「「知」の読書術 佐藤優」
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