書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

DBさん
DB
レビュアー:
宇宙への探求の歴史の本
一千億以上の銀河がある宇宙。
天の川銀河の片隅にある太陽系の小さな惑星から宇宙を見て、宇宙の全容を解明しようとした道のりが天文学だ。
今でこそ宇宙空間に巨大な望遠鏡があるが、宇宙に対する知見はそのほとんどが地上からの観察によって得られたものだった。

人類の宇宙への理解の道のりは神話の世界の宇宙観にはじまります。
宇宙卵から盤古という巨人が産まれて世界を作り上げる中国の創世神話や、炎の国と霧の国を分けている裂け目から生まれたユミルという巨人が登場するアイスランドの叙事神話、西アフリカの空の神を紹介します。
そこから太陽や月の動きといった天体運動を、神の存在ではなく物理的に説明しようとする時代がやってくる。

宇宙は音楽で満ちているというピュタゴラスの説は美しい。
地球が球形であることや、地球の大きさは紀元前の古代ギリシャですでに明らかにされていた。
そして地球の直系から月の大きさと月までの距離、そして太陽の直系と太陽までの距離までも導き出せる。
地動説はコペルニクスが発見した物だと思っていたが、実はそれより千五百年も前にギリシャのアリスタルコスが述べた説だったそうです。

プトレマイオスやコペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラーにガリレオといった学者の業績が順に語られます。
二十世紀に入ってようやく天文学は飛躍的な発展を遂げる。
アインシュタインの法則からビッグ・バンモデルにいたる道のりがサイモン・シン独特の文章で語られていきます。
物理学的な話も出てくるが、わかりやすく書かれているので面白い。

神々の世界であったギリシャ時代と現代で星の見え方はたいして変わらないはずなのに、それを見るほうの知識はどんどん変化していったんだなって思った。
今では誰もが銀河系の中の恒星である太陽の周りを回る地球という惑星に自分がいるんだっていうことを知っているけど、その概念ができあがるまでには古代の学者のひらめきや無数の天文学者の地道な努力があったんだと感じます。
そして今の宇宙を知ることで、宇宙の始まりについてもまた研究するのが人間の探究心ってやつなんだろう。
アインシュタインの相対性理論がどれだけ重要な理論であったか、そして望遠鏡に名をつけられたハッブルがどれだけ偉大な天文学者だったかもわかりました。
宇宙という壮大なテーマを見事にまとめあげた本だった。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:2票
参考になる:29票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『宇宙創成〈上〉』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ