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かもめ通信
レビュアー:
「個性は本の選び方じゃなく、読んだ感想に出る」そうなんだよね。読んだはしからレビューを書き始める私など、ある意味日記を公開するより赤裸々かも!?
タイトルだけでは内容を推し量ることはできないが、
装丁からどうやら本か本屋をテーマにした話だろうと推測して手に取ってみたYA小説。

同年代より1年遅れて都立の単位制の通信制高校に入学した少女、沙羅は、
幼い頃に隣に住んでいて仲良しだった少年、万葉と再会する。

はじめのうちこそ、沙羅を無視するかのような態度を取っていた万葉だったが、
それぞれが抱える事情を知るにつけ、急速に接近する。

改めて二人の縁をつないだのは、万葉がいつも読んでいる本だった。

専らゲーム三昧で、本なんてほとんど読んだことがなかった沙羅が
少しずつ本を読むようになり、
同じ本を読んで感想を語り合うようになった二人は、
互いの思いがけない受け止めに新鮮な驚きを覚えたりもする。

同じ風景を見て、思い起こすことが全然違う、当たり前だけどね。
同じ言葉でも人によって意味とか重さとか、やっぱり違うんだね。

主人公の二人は男の子と女の子で、
お互いを大切に思っているが恋愛関係にはない、
そんな爽やかさも読み心地がいい。

そんな万葉と沙羅を温かく見守るのは、
万葉がアルバイトをしている古書店主でもある万葉の叔父さんだ。

やがて万葉は通信制の大学へ進学、
沙羅にも本の話ができる新しい友人ができる。
ふたりは、それぞれ悩みを抱え、それぞれの日常を過ごしながら、
自分の進む道を模索する。

本の話題も豊富で
「個性は本の選び方じゃなく、読んだ感想に出る」
という言葉も印象的だ。

伊藤計劃の『ハーモニー』や福永武彦の『草の花』、
今度こそ読んでみようかな。

続編があったら読んで見たいな。
そんな風に思える物語。

だがしかし、読んだはしからすぐにレビューを書き始める私など、
ある意味日記を公開するより赤裸々かもしれない。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2233 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:17票
素晴らしい洞察:1票
参考になる:28票
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2021-12-22 06:01

    そんなこんなで日々赤裸々な告白をしている私の、年内はこれが最後の投稿です。
    年末年始は例年より少し長めのネット休暇をとる予定なので、ちょっとばかり早めのご挨拶になりますが、皆様、今年も大変お世話になりました。
    どうぞ良いお年をお迎えください。
    来年もまたよろしくお願いいたします。

  2. hacker2021-12-22 07:04

    かもめ通信さん、今年も素敵な書評の数々ありがとうございました。楽しませてもらいました。ついでですが、『城』のレビューを近々あげます。

    どうか良い新年を。来年もよろしくお願いいたします。

  3. oldman2021-12-22 09:13

    今年もかもめさんの書評を読んで、様々な本に出会えました。ありがとうございました。
    僕も来年からは引きこもって積んである蔵書を片付けていく予定です。

    良いお年をお迎えください。来たる年も良い年でありますように、
    よろしくお願いいたします。

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