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かもめ通信
レビュアー:
嘘だと思うなら解説だけでも読んでみて!?
互いの家族とともに
ブルターニュの海辺に毎年恒例となっている避暑にやってきた、
青い花<ツルニチニチソウ>という意味の名前の少女ヴァンカと、
一つ年上のフィリップ少年。

15歳と16歳という幼なじみの恋。

思春期を迎え、
お互いを異性として意識し始めている二人だが、
おのおの自分の気持ちをもてあまし気味。

相手にどう接して良いのかわからずに、
顔を合わせれば憎まれ口をきいたり、
そうかと思うと無口になったり。


あー!じれったい!!


と、そこに、突如現れる年上女性。


ああこれもまたフランス文学にありがちな、
年上女性に性の手ほどきを受ける少年というパターンなのか!!

具体的な性描写がなくても、
絹の手ざわり、立ち上る香り、光の加減が、
少年の秘め事を鮮やかに描き出す。


全篇を通して、
景色や植物や物や色彩の繊細な描写が印象的な作品でもあった。


だが、4つ星をつけたこの本のお薦めどころは、
正直なところ物語そのものではなく、
巻末に収録された、およそ20ページにわたる鹿島茂さんによる解説だ。

1923年に発表されたこの作品が、
フランス文学史にとってなぜ画期的と評されるのか。
フランス文学に登場する年若い男性たちはなぜ、
高級娼婦や人妻と初体験をするのか。

なるほどねえ。そういうことだったのか!
目から鱗は落ちるし、思わず笑ってしまうしで、
本文をすっかり喰ってしまう面白さ。
この解説だけでも読む価値が十分ある。

そしてこの解説を読むと
本篇の魅力がじわじわと増してくるのだった。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2233 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:18票
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この書評へのコメント

  1. michako2020-02-11 17:55

    え~
    鹿島先生の深すぎるオタク度に参っているので、これは読まなくてはです!
    私もじわじわしたい!!

  2. かもめ通信2020-02-11 18:57

    ぜひぜひ、これは記憶に残る解説かとw

  3. No Image

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