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かもめ通信
レビュアー:
え?もしかしてこれ絶版なの?こんなに面白いのに?? 祝 #岩波少年文庫 #創刊70周年

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

祝 #岩波少年文庫 #創刊70周年 読書会に参加すべく手にした『針さしの物語』がなかなか面白かったので、メアリ・ド・モーガンの短篇集をもう1冊読んでみることに。

メアリは生涯に3冊の本を出していて、この本が2冊目。
原書は1880年に刊行されてたのだそう。
一見するとオーソドックスなおとぎ話のようになのに、読んでみるとこれがなんとも斬新。

表題作「フィオリモンド姫の首かざり」は、著者の代表作とされる作品とのことだが、これがすごい。
始まりはこうだ。
あるところに王さまがいました。お妃はなくなりましたが、お姫さまがひとりいて、またとない美しさでした。それはそれは美しい方なので、心根もきれいだと、だれでもつい思いがちですが、ほんとの話このお姫さまはたいへんな性悪で、わるいまじないや魔術を使います。

矢川澄子の語り聞かせ口調の翻訳がまたいい感じ。

このフィオリモンド姫、一人っ子なので、どこぞの王子を婿に取ってその婿に王位を継がせようということになるのだが、お姫さまはそれがたいそう気に入らない。

なぜって夫ができたなら、自分が魔女のところへ通っていることがばれ、魔術もつかえなくなる…、そうなったら自分の美しさもおしまいだと考えたからだ。

なるほど、お姫さま。自分を美しく魅せる魔法をお使いのようですな。

それでも正面切って婿取りに異を唱えるわけにもいかないので、魔女と相談の上策略をめぐらせて、求婚者を次々に首飾りの宝石に変えてしまうことに。

いざ結婚式という段になるといつもお相手が失踪してしまうという呪われた悲劇のヒロインは、実は事件の首謀者だったのだ!!

事件の真相を見抜いたのは、観察眼するどいお姫さまの腰元ヨランダ。
(「腰元」という訳がなんとも古めかしくて思わずクスッと笑ってしまうがそれはさておき)

このヨランダが正統派ヒロインの役どころのはずなのだけれど、なんだかダークなフィオリモンド姫が妙に魅力的に思われて切って捨てがたいような気が……。

これも一種の魔法のなせる技なのか?

この作者の一連の作品は、フェミニズム解読をしても面白いかも。

他にもなかなか読み応えのある短編が6編。
絶版のままにしておくのはもったいない1冊だ。

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2235 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:12票
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2020-09-25 06:05

    祝 #岩波少年文庫 #創刊70周年 読書会
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no379/index.html?latest=20

    9月末までやっています。
    レビューがなくても参加できますので、あなたのお薦めの岩波少年文庫、ぜひご紹介ください。

  2. No Image

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