ゆうちゃんさん
レビュアー:
▼
フィガロが伯爵夫人の腰元シュザンヌと結婚する。だがふたりの主人である伯爵はシュザンヌに対して初夜権を行使しようとする。おまけにフィガロと婚約をしたと言う老女も現れ・・・。
モーツァルトの歌劇で有名になった戯曲。
主人公のフィガロは、今は門番として仕えるアルマヴィヴァ伯爵とその妻ロジーヌをセヴィリアで娶せてあげた。そのフィガロが伯爵夫人ロジーヌの腰元シュザンヌと結婚する。フィガロは主人である伯爵夫妻に仕えるには便利な部屋をあてがってくれたと喜ぶが、シュザンヌはアルマヴィヴァ伯爵がこの部屋をあてがったのは伯爵がシュザンヌに対して初夜権(貴族の召使の結婚の時、召使の主人である貴族がその花嫁と最初に寝る権利)の行使に便利だからだと打ち明ける。口八丁手八丁のフィガロは、伯爵の権利行使を阻み、なおかつ自分の結婚は実現する策略を巡らせる。
第一幕でフィガロが伯爵にそんな権利は使わないと約束させるのだが、それで引き下がる伯爵ではなかった。フィガロに金を貸した代わりにそれが返せなければ結婚すると言う証文を持った老女マルスリーヌも現れる。シュザンヌへの初夜権を行使出来ないのなら、フィガロの結婚などご破算に、と伯爵はこれを利用しようとする。一方であれほど苦労して結婚したのにたった3年で飽きられ、夫は浮気し放題ということに伯爵夫人ロジーヌは悩み、シュザンヌにこれを打ち明ける。伯爵の権利を阻みなおかつ無事に結婚するには、庶民の英雄、切れ者であるフィガロの知恵だけでは切り抜けられず、女性の知恵と言うものが大きな役割を果たす。
それにしてもこれはとてもよくできた喜劇である。例えば第二幕の伯爵夫人の部屋の場面。フィガロの陰謀で妻ロジーヌに男がいると疑い始めた伯爵は、妻の部屋に突然現れた。そこには伯爵を怒らせ暇を出された小姓シェリバン(モーツァルトの歌劇ではケルビーノ)が居て、女のように綺麗だと伯爵夫人とシュザンヌが女の衣装を着せて遊んでいた。シュザンヌとロジーヌは、伯爵の登場に驚きシェリバンを化粧室に隠す。それからすったもんだの騒ぎとなる。圧巻は第五幕。フィガロに散々やり込められてきた伯爵はシュザンヌから手紙を貰い大得意だった。だが、シュザンヌと密会する栗の木の下で伯爵が目にしたものは・・・。
喜劇でありながら、現代につながる男女差別、当時の不合理な身分制度、貴族の愚かな振舞と問題提起もしっかりなされている非常に人間味のある話だ。しかも女性をとても立てている。こんな話を書いた奇才ボーマルシェだが、芝居が当たり大金持ちになり、フランス革命時にはバスチーユの真ん前に屋敷を構えていたのは皮肉な運命としか思えない。民衆にそこを襲われ散々な目に遭った。
モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の有名な曲
「序曲」
「第一幕 もう飛ぶまいぞこの蝶々」(フィガロのアリア)
「第二幕 恋とはどんなものかしら」(ケルビーノのアリア)
主人公のフィガロは、今は門番として仕えるアルマヴィヴァ伯爵とその妻ロジーヌをセヴィリアで娶せてあげた。そのフィガロが伯爵夫人ロジーヌの腰元シュザンヌと結婚する。フィガロは主人である伯爵夫妻に仕えるには便利な部屋をあてがってくれたと喜ぶが、シュザンヌはアルマヴィヴァ伯爵がこの部屋をあてがったのは伯爵がシュザンヌに対して初夜権(貴族の召使の結婚の時、召使の主人である貴族がその花嫁と最初に寝る権利)の行使に便利だからだと打ち明ける。口八丁手八丁のフィガロは、伯爵の権利行使を阻み、なおかつ自分の結婚は実現する策略を巡らせる。
第一幕でフィガロが伯爵にそんな権利は使わないと約束させるのだが、それで引き下がる伯爵ではなかった。フィガロに金を貸した代わりにそれが返せなければ結婚すると言う証文を持った老女マルスリーヌも現れる。シュザンヌへの初夜権を行使出来ないのなら、フィガロの結婚などご破算に、と伯爵はこれを利用しようとする。一方であれほど苦労して結婚したのにたった3年で飽きられ、夫は浮気し放題ということに伯爵夫人ロジーヌは悩み、シュザンヌにこれを打ち明ける。伯爵の権利を阻みなおかつ無事に結婚するには、庶民の英雄、切れ者であるフィガロの知恵だけでは切り抜けられず、女性の知恵と言うものが大きな役割を果たす。
それにしてもこれはとてもよくできた喜劇である。例えば第二幕の伯爵夫人の部屋の場面。フィガロの陰謀で妻ロジーヌに男がいると疑い始めた伯爵は、妻の部屋に突然現れた。そこには伯爵を怒らせ暇を出された小姓シェリバン(モーツァルトの歌劇ではケルビーノ)が居て、女のように綺麗だと伯爵夫人とシュザンヌが女の衣装を着せて遊んでいた。シュザンヌとロジーヌは、伯爵の登場に驚きシェリバンを化粧室に隠す。それからすったもんだの騒ぎとなる。圧巻は第五幕。フィガロに散々やり込められてきた伯爵はシュザンヌから手紙を貰い大得意だった。だが、シュザンヌと密会する栗の木の下で伯爵が目にしたものは・・・。
喜劇でありながら、現代につながる男女差別、当時の不合理な身分制度、貴族の愚かな振舞と問題提起もしっかりなされている非常に人間味のある話だ。しかも女性をとても立てている。こんな話を書いた奇才ボーマルシェだが、芝居が当たり大金持ちになり、フランス革命時にはバスチーユの真ん前に屋敷を構えていたのは皮肉な運命としか思えない。民衆にそこを襲われ散々な目に遭った。
モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の有名な曲
「序曲」
「第一幕 もう飛ぶまいぞこの蝶々」(フィガロのアリア)
「第二幕 恋とはどんなものかしら」(ケルビーノのアリア)
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。
この書評へのコメント
 - コメントするには、ログインしてください。 
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:岩波書店
- ページ数:250
- ISBN:9784003252215
- 発売日:1976年01月01日
- 価格:630円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。





















