日本列島「富士」案内: 地球物理学者、富士を語る

富士山は日本一の名山でしょうが、それにあやかった何とか富士という山は全国各地にあります。それを紹介しています。
本作はミステリとして結構凄い。事件は本格謎解きミステリ並みに複雑な上、その一部は多分、「ミステリ史上例を見ない特異な犯行動機」で行われていたことが明らかになるのだ。
ディーン・スターの頭が、彼の意識には届いていないドラムのビートに合わせ、ほんのかすかに上下している。今夜、彼の意識に届いていないものは他にもたくさんあった。事実、彼はたったいま刺されたところなのだが、それを意識できずにいる。刺された男が徐々に死んでいく様子が、被害者視点の三人称表現で美しく描かれている。
ドラッグとワインとは、脳の交換機のオペレーターをダウンさせていた。体内の伝達ラインは損なわれており、傷は痛みにつながらない。接触は感じたものの、彼にはそれが何なのかわからなかった。なぜなら、己(おのれ)の内部は見えず、従って、アイスピックの鋼による損傷も把握することはできないからだ。そしていま、心室からは血が流れ出している。状況もわからぬまま、次第に弱っていき、ディーン・スターはずるずるくずおれ、その頭は、まるで枕に着くように硬材の床にそっと落ちた。(p.11-12)
「法律? ああ、法律は金で買えますからね。(後略)」そして本作はミステリとしても結構凄い。事件は本格謎解きミステリ並みに複雑な上、その一部は多分、「ミステリ史上例を見ない特異な犯行動機」で行われていたことが明らかになるのだ。この「ミステリ史上例を見ない特異な犯行動機」というのは、ジョイス・ポーターの『ドーバー4 切断』に使われた惹句だが、私はこの『死のオブジェ』にも使っていいと思う。
「法律を買ったですって?」
「いいですか、マロリー、ニューヨークでは何だって買えるんです」
「わたしは法の執行者なんだけど」
「よくわかってますよ。勘弁してください。お互い大人なんだから。この町は、誕生して以来、六分と不正が途絶えたことはないんですからね。ここで買えないものがありますか? 男、女、子供──何だって買える。セックスの相手にしてもいいし、ただスペアパーツとして内臓を取ってもいい。(後略)」(p.287)




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