「焼いていないのに「焼きそば」?」
表紙にも書かれているこの疑問、そういわれてみると確かにそうだ。
世の中に出回っている「カップ焼きそば」はお湯をそそぎ、
数分のちに湯切りして粉末ソースをかけて出来上がる。
その工程に「焼き」はない。
つまり、焼いていない、けれど「焼きそば」。
なんだか、ふざけた謎ときの本のようではあるが、
実はこの『カップ焼きそばの謎』は、とてもまっとうな経営書でもある。
特に即席麺業界をとりまく経営に興味のある方、必読の面白さ抜群の経営書だ。
世界最初のカップ焼きそばの誕生は1974年(昭和49年)だという。
販売元はエビス産業。
今は廃業しているこの会社から始まり、
おなじみまるか食品の「ペヤングソースやきそば」、日清食品の「焼きそばU.F.O.」、
エースコックの「スーパーカップ」、サンヨー食品の「サッポロ一番おたふくソース焼きそば」、
そして明星食品の「一平ちゃん夜店の焼きそば」。
最後は東洋水産の「マルちゃん」の焼きそば、と読むだけでおなかいっぱいになりそう。
しかも、これらの開発の裏にあるさまざまな取り組み。会社の盛衰。経営者の信念。
まるで「カップ焼きそば」の「プロジェクトX」。
驚くのは、著者塩崎省吾さんの取材力。
関係者への聞き取りだけでなく、当時の新聞雑誌の読み取り、など実に緻密。
この人の本業はITエンジニアだというが、「焼きそば研究家」の名に恥じない、
りっぱな研究でした。
ところで、冒頭の疑問の答えは、ちゃんと本書の最後に書かれている。
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