日本人と魚の関わりについて考察した本です。
まあ、日本は島国、四面を海に囲まれているという地形ですから、必然的に魚との関わりも深くなろうというものです。
著者も、日本人はもちろん古代から獣も食べていただろうけれど、やはり魚をよく食べてきた民族だろう、それは貝塚その他の発掘からもよく分かると書いています。
ですから、神に魚を捧げるという行為も多く見られたところで、本書ではその辺りにもページを割いています。
神饌、御饌(みけ)としての魚というわけですね。
また、魚にまつわる祭事も各地に多く残っているという紹介もあります。
魚を魔除けに使うという風習もあり、玄関先に様々な魚を飾るということも各地で行われています。節分に柊と鰯の頭(半分に切って全部飾るという地域もあるそうです)を飾るというのもそうですね。柊の葉っぱはトゲがあり、また鰯は匂いが強いのでこれらで鬼を寄せ付けないということですよね。
図像学的には腹を合わせた双魚というのも多く用いられているのだとか。
薬師寺にある薬師如来の足の裏にもこの図像が彫られているんですって。
このデザインは他にも多く用いられており、また、双魚デザインは外国にもよくあるもので、なんで二匹なんだ? という考察もあります。
星座も、魚座は双魚ですよね(まあ、あれは星の形を結ぶとそうなるということなのでしょうけれど、それを二匹の魚に見立てたところは意味があるのかもしれません)。
はたまた木魚。仏教では殺生を禁止しており、生臭ものを忌避するところもあるのに、その寺になんで魚を象った木魚なんていうものが入り込んだのか?
諸説あるみたいですね~。
本書では個別の魚介類についても論じられており、例えば、アワビは元々のしにも使われており、日本では珍重された貝だったとか、同じ貝で言うとハマグリも女性を尊ぶ意識と密接に結びついていたということも書かれます。
その他、身近な魚である鯛、サバ、イカ、たこ等々についても様々なエピソードが紹介されています。
豊富な話題を提供してくれる本ですが、著者の世代のせいなのかもしれませんが、若干古臭い書き振りもあり、まあ、その辺りはそういうセンスだった世代もあったんだね位に流すのがよろしいでしょう。
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)/291ページ:2026/04/03
この書評へのコメント