京都の永楽屋が、大正〜昭和初めに自身が製造販売してきた手ぬぐいのコレクションをまとめたものである。手ぬぐいの柄というと「だいたいこんな感じ」というイメージがあるかもしれないが、これが「なんでもあり」の面白さなのである。
舞妓さんがスポーツをする一連のものは復刻販売されており、実は私も「競技ボートを漕ぐ舞妓さん(正式な名は「おきばりやす! おきばりやす!」)」を買ってしまったことがある。
舞妓さんが京都らしい風景に立っているような、今でもどこかの土産物屋で売っていそうなものもあれば、時代を反映してかカフェやモダンガールも出てくる。「乱れ髪」の装丁や竹久夢二を思わせるものも少なくない。歌舞伎役者などは「らしい」が、なぜ大名行列のシルエットが出てくるのかはよくわからない。
海水浴が好んでテーマにされているのは新しい余暇の過ごし方としてブームがあったのだろうか、それとも男性の視線を意識したのか。確かに五重塔は手拭にしても見栄えがするが、送電線の鉄塔が五重塔に負けない雰囲気になって出てくるのは不思議な感じだ。なんでもかんでも手ぬぐいにしてしまっているのだ。
デザインがいいとかなんとかというより、玉石混淆で、とにかく貪欲なのである。ちょうどこのころは「手ぬぐいブーム」だったそうだが、それゆえのエネルギーが込められているのだろうか。現在でも、東京の「かまわぬ」や、ロフト等でも沢山の手拭が売られているが、「江戸っぽさ」をウリにしている分、勢いが違って感じる。
そんななかでもつい目を惹くのは、細かく描き込んであるものや有名な風物を扱ったものよりも、日常を意外な視点から切り取ったものたちである。仲の良い二人を表現するのには全てを描く必要はない。愛らしい猫は、こにくらしい後ろ姿だけで十分だし、長屋で仲良く寝る親子三人も手拭の題材となる。そんな自由な試みを繰り広げた先人たちのアイデアとエネルギーに感心しきりの1冊である。
*初出:bk1 2006年1月22日
・再掲載にあたり、いくつか文言の修正や改行などを行いました。
*旧タイトル:これも、ブランドもの?!
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