複数の地域の神話を比較することでその神話を持つ文化の特徴や人々の世界観について考え、さらに異なる地域の神話と神話の間に見られる共通点から人類の移動の家庭を推測したり、人類に普遍的な思考などについて考察する「神話学」という学問があるそうだ。
人間が知りたいと思っているものの、実際に目にすることはない宇宙の始まりや死後の世界について、人類は神話という形で答えを出してきた。
神話とひとくくりにしても、口伝や歴史、文学、聖典と文化によってその伝えられ方は違ってくる。
日本の神話は八世紀に天皇と神の関係についてまとめた「古事記」、海外に向けて編纂された「日本書紀」、そして地方の伝承も記した「風土記」によって完成している。
これをギリシャ神話、北欧神話、インド神話、エジプト神話など世界の神話と比較していくという面白い切り口で見ていくのが本書です。
日本の神様といえばやはりアマテラスですが、太陽神であり最高神でもある。
エジプトではファラオの父とされるハヤブサの頭を持つ太陽神ラー、メソポタミアでは正義を司る太陽神ウトゥ、インカでは皇帝の父とされる太陽神インティ、アステカでは太陽神であり軍神でもあるウィツィロポチトリ、ギリシャでは音楽や牧畜、医術に予言も司る太陽の神アポロンと空を馬車で駆けるヘリオス、ケルトでは光り輝く槍を持つ神ルグが太陽とかかわりのある神として紹介されている。
どの神話でも重要なポジションの神なのはやはり太陽が人間にとってなくてはならないものであるからだろう。
これに対し日本神話の月の神ツクヨミは影が薄いが、不老不死や若返りをつかさどると考えられていたそうです。
かぐや姫の物語にも不死の薬が出てくるのはツクヨミと関係あるのかも。
こんな感じで、創造神話や人間が生まれる神話、世界観についてなどを日本と世界の神話を比べていきます。
以前黄泉の国の話で妻エウリュディケを求めて冥界に行ったオルフェウスと、火の神カグツチを産んで火傷して命を落としたイザナミを追って黄泉の国へ行ったイザナキの話を比較した本を読んだことがある。
その類似性と相違がなかなか面白かったが、神話の比較だけでなく日本の神話もなかなか興味深い。
日本の神様の名前が覚えにくくてとっつきにくかったが、今度簡単な古事記でも読んでみようと思った。
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