魚釣りと美味しい魚料理が大好きな著者が、日本各地の漁港を回って海の恵みをレポしていく本です。
まず最初は紀州の海へ。
漁港近くの魚屋をのぞいてみると、派手な模様のウツボが発泡スチロールに投げ込まれて売っている。
三枚おろしにして干物にしたものを油で炒めて食べるのが主流のようで、歯ごたえがあって酒の肴にちょうどいい珍味だそうです。
漁船にも乗り込んで、大敷網で獲れたタチウオ、カマス、クロダイ、ワラサといった何種類もの魚を煮て味噌を入れた大敷鍋という漁師飯も紹介されていた。
続いて山形県の日本海に浮かぶ飛島へ。
泊まっている旅館の女将に連れられて貝拾いをして、貝汁にしてもらう。
塩辛が隠し味だそうですが、その塩辛ももちろん自家製だ。
そしてヤキブシという小アジやタナゴを使って作るダシのもとを漁師さんが作っているのを見学していた。
丹後の海ではノロゲンゲという透き通るような白い体色の魚がズワイガニ漁の網に混獲されるそうですが、地元ではグラと呼ばれて消費されている。
煮るとずるりとした粘液があって、その中にはホコホコとした白身があるそうだが、味を想像するのは難しい。
駿河の海ではやはり深海魚や甲殻類がメインのようで、アカエビの煮つけとテナガエビとボタンエビの刺身を食べながら漁を見学するという贅沢な話だった。
海だけでなく湖でも漁はしているということで、琵琶湖の中にある島ではスジエビを本命にイサザやビワマス、コイ、ニゴロ、ホンモロコ、スゴモロコといった淡水魚をとっている。
さらに沖縄のエメラルドグリーンの海で獲れるカラフルな魚の話や、島根の隠岐の島へアメフラシを食べに行った時の話、魚を求めて海を渡り韓国の麗水に行った時の話、下北半島の付け根にある小湊漁港で「カキ」と呼ばれるミネフジツボという貝を食べに行く話と様々な土地で漁と食を追い求めています。
北海道の松前沖の孤島で魚を釣って自活するというロビンソン・クルーソーを気取った企画もありました。
島に行ってみれば漁師の御夫婦が季節によって島を拠点にした漁のために住む小屋にいたので無人島でもなく、荒天と釣果なしにあっさり引き上げてくるというロビンソンどころか十五少年にもなれなさそうな話だった。
他にも有明海、羅臼、佐渡島、紀伊に和田浦と全国の海の魚と漁の話が出てきます。
場所によって漁法も様々なら、雑魚と呼ばれるスーパーで見かけることのない魚を工夫して食べている様子を知ることができた。
豊かな海に囲まれていることをもっと大切にしたいと思う本だった。
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