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ライターになるために必要な心構えを具体的に説く

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • 取材・執筆・推敲 書く人の教科書
  • by
  • 出版社:ダイヤモンド社
取材・執筆・推敲 書く人の教科書
 ネット上での「コタツ記事(記者が現地取材をせず、著名人のSNSの呟きなどを拾ってそのまま記事にしたもの)」の氾濫、さらには生成AIによる「それっぽい記事の生成」が可能となった現在、ライターの価値は疑問視されることが増えているように思う。また、ライターは「誰にでもできる副業」として副業サイトで歌われていることも多く、それもまた業種としてのライターの価値を下げてしまっている気がしてならない。

 本書は、そんな「ライター軽視」の風潮に一石を投じ、ライターという仕事がいかに苦悩の連続か、それでいてやりがいがあるかを述べている。故にタイトルからは小説書き、論文書きなどの「書き手」に向けられた本のように思えるが(実際のところ、私も小説執筆の参考になるかと思い手に取った)、中身は「ライター業」に特化したものとなっている。

 とはいえ、ライター以外の文筆業に従事する者が知っておいて損はない情報も本書には書かれている。それが、「編集者とはいかなる存在なのか?」という部分だ。書籍化や連載が決まらない限り、物書きが編集者の方と接することは全くない。ゆえに、初対面のビジネスパートナーとどう向き合うべきなのか、困惑することが想定される。
 私のXのフォロワーさんの投稿や小説投稿サイトから書籍化された方のエッセイを拝読していると、編集者さんのスタンスは出版社や個々人の性質によってまちまちで、相性のよしあしがかなりあるようだということが見て取れる。その点、本書では筆者が考える編集者の位置づけについて、かなり明確に示されている。

書き手の立場から見た「編集者にはこういう人であってほしい」であれば、はっきりと言える。「ほかの部分はどうだっていいから、ここだけは備えておいてほしい」という職能が、明確にある。おそらくそれは、編集者の定義とも結びつくはずだ。
 ぼくは編集者に、「プロの読者」であってほしいと考えている。【p438】


 本書で述べられる、「編集者=プロの読者」という発想は、私にはなかったので新鮮に感じた。ともするとSNSで流れていく編集者像を見ていると、編集者=執筆補助者のように感じられることが多い。しかし、プロの読者である、という前提に立てば、厳しい指摘も、細かな修正も受け入れられやすいのではなかろうか。
 ただし、その前提として編集者とライターの間の信頼関係は必須だと思う。私は、時折小説投稿サイトで文章表現のアドバイスを頂くことがあるが、その相手が信頼できないと、なかなか納得感をもって修正をすることができない(明らかな誤字脱字は別だ。いつ何時でもありがたい)。
 ゆえに、著者は「ほかの部分はどうだっていい~」と書いているが、編集者のことを「プロの読者」だと受け入れるに至るまでの、信頼関係の構築は必要で、かつ社会人としての最低限のマナーは備えていてほしいと私は願う。

 このように、著者の主張には賛同できない部分も含まれるものの、取材・執筆・推敲について網羅的に記載されており、かつ新たな発見もいくつかあった。
 最初に「小説書き・論文書きではなく、ライター業に特化して書かれた本」であると記したが、広く物書きが知っておくべき知識が書かれているため、読んで損はないと感じた。

(書評執筆日:2025年8月10日)
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  • 掲載日:2026/03/16
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