『恐怖の谷』は、二部構成になっている。
第一部「バールストンの惨劇」の舞台は、サセックス州の北端に位置しているバールストンという小さな村。村の中心から半マイルほど先の荘園の中に建つバールストン館に数年前から住み始めたアメリカ帰りのジョン・ダグラスが、何者かに殺害された。
事件の一報をホームズにもたらし協力を仰ぎに来たのはスコットランド・ヤードのマクドナルド警部。その時、ホームズは協力者から受け取った暗号の手紙を解読し終わったところで、手紙には、「バールストン館に住む資産家ダグラスに危機が迫っている」と記されていたのだった。
バールストン館は、堀に囲まれ、夜間は跳ね橋が上げられている。事件の一報を受けて現地の警察が館出向き、すぐさまスコットランド・ヤードに協力要請が入ってマクドナルド警部とホームズ・ワトソンコンビは直ちに現地入りしたため、殺害犯人が館から逃走することは不可能と考えられたのだが・・。
種明かしは現代のミステリでは時々見かけるものだが、私自身もホームズと同じところに引っ掛かった。
第二部は、アメリカの鉱山を舞台にしたスリリングなサスペンス。
スコウラーズという組合はアメリカ各地に支部を持っていたが、その鉱山のスコウラーズはマフィア化し、殺人集団と化していた。拠無い事情でシカゴから鉱山に流れてきたというマクマードは、鉱山でも抜き差しならない状況になり鉱山のスコウラーズの顔役マギンディを頼るしかなくなった。マクマードは徐々にマギンティとの距離を縮めていくが、マクマードというのは偽名で彼には秘密の役目があった。だが、その役目を果たしたために命を狙われ、世界中を逃げ回らなくてはならない運命となる。
どちらもスリリングな話で、一冊で2度おいしい、という感じ。でも、モリアーティ絡みにする必要があったかな、とも思った。
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