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「ほぼフィクションです。ほぼ。」という小冊子の著者コメントに、ニヤリとさせられた。

きゃくほんかのセリフ!
恐らくだが、売れていない(それに近い状況の)脚本家が、本書の主人公、竹田雲太。そんな彼がひょんなことから人気ライトノベル「メルヘン探偵の事件簿」の劇場版アニメの脚本を引き受ける事になった、というより、なってしまったことが本書のストーリーの出だしである。


脚本家という職業、そう簡単にはお仕事が進むわけでは無い。その中には本書に出てくる、極悪プロデューサーや敏腕マネージャー、原作至上主義編集者 等の居る中で作品を作り上げるため、作品作りにも人間関係にも気を使い、日々悪戦苦闘を強いられる様が描かれている。


とはいえ、味方がいない訳では無く、少ない理解者の中、作品を作り上げるための努力や奮闘の様子が描かれているのは本書の魅力的な部分であり、ラストまで読者を飽きさせないだろう。また、ライトノベルにつきものの挿絵の方も「眼力」のある絵は私自身、好みの絵でとても良かった。


本書を見ていると、脚本家って、損な立ち位置にいるよね、というのが目の当たりに感じられる。そのあたりが妙にリアリティのある部分だなぁと思っていたところ、あとがきに、著者自身が脚本家もされているような書き方がなされていた。


実は本書を読むに当たり、カバーに書かれている著者の情報が少なかったため、あとがき、から読み始めたのだが、この本を書こうと思った理由に、脚本家を目指す若い人材が増えてほしい、との願いがあるとのことで、こんなところにも人材不足の波が押し寄せているのか…、と驚いてしまった。


また、本書は小学館 ガガガ文庫さんからの出版ということで、現実から一歩離れたライトノベル感を期待しながら読んでいたのだが、先述した通りリアリティに富んだ内容であり、私が期待していたライトノベルというジャンルとは異なるかな?どちらかというとYA書籍に属するかな?などとと感じたりもした。なぜなら、本書では宇宙人・未来人・超能力者が出てくるわけでも無く、ましてや異世界に飛んでいくわけでも、スライムに転生したりする訳でも無いからである。


本書はもちろん物語であり、フィクション。しかも主人公の職業が脚本家というかなり珍しい事例だと思うが、この作品について「ほぼフィクションです。ほぼ。」という本書に挟まっていた小冊子の著者の意味深長なコメントにニヤリとさせられた。もし脚本家という職業に興味がある方、これから脚本家を目指したいという方、いらっしゃれば、一読しておくのが良いと感じた。
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  • 掲載日:2019/05/08
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