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日本人でありながら戸籍に登録されていない無戸籍者。そんなことは考えてみたこともありませんでした。何か特別なことがなければ普段はなかなか目を向けることがない戸籍について教えてくれる一冊です。

  • レビュアー: さん
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  • 戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭
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  • 出版社:人文書院
戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭
そもそも戸籍とは何なのでしょうか。まずはここから。なぜか茅ヶ崎市のホームページから戸籍について拝借(以下)。

戸籍は、日本国民の親族関係を登録(証明)するもので、夫婦及び夫婦と氏を同じくする子どもを単位としてつくられる身分関係の系譜です。

親族関係を登録する、身分関係(!)の系譜なんですね。ついでなので、併記されていた本籍についても拝借(以下)。

戸籍のおかれているところを本籍といい、個人の出生、婚姻、養子縁組、死亡などの身分上の重要な事項が戸籍に記載されています。

なるほど。本書の冒頭では国家による登録制度の種類が挙げられており、筆頭にある身分関係登録が日本で言うところの戸籍なわけです。茅ヶ崎市ホームページの説明とも合いますね。国家による登録制度は以下の通り。

①身分関係登録
②住民登録
③国民登録
④個人情報登録

①は先に挙げた通り、本書の主題である戸籍です。②はいわゆる住民票のもとになるものですね。なお、世界で住民登録制度が整備されている国は日本、韓国、スウェーデン、フィンランドくらいなのだそうです。

③は国籍ですね。④は日本で言えば二〇一五年十月から運用が開始されたマイナンバー制度です。会社に登録する際は少しだけ気になりましたが、その後はすっかり忘れ去られてしまい触れることすらありません。

こうして見てみると、日本は国家による登録制度が整備されている国であることがわかります。あぁ、素晴らしい。いや、本当に素晴らしいのか?こんな面倒くさいことをするにはそれなりの理由がありますよね。

もとをただせば、戸籍は国民のためにではなく国家のために利益をもたらす制度なのである。古代国家の時代より、戸籍は軍事や課役の目的から国民を動員すべき資源として把握するための手段だった。

ですよねぇ。しっかり首根っこを掴まれているということですよね。まぁ、余程のことが起こらなければ、デメリットが顕在化することはないと思いますが、あまり良い気持ちはしません。ね、ビッグ・ブラザー?

なお、日本の国籍法では届出主義を採用しています。つまり、極端に言えば、ある人が死亡しても死亡診断書を添えて死亡届を役所に提出しない限り、その人が戸籍上は死亡したことにはならないということです。

つまり、戸籍は必ずしも真実を記載するものではなく、戸籍に記載されている事柄から真実が推定されるだけのことなのです。何だか推理小説みたいですが戸籍を悪用した事件は数え切れないくらいありそうです。

へぇぇ〜と思いながらも、言われてみればと納得したことは、天皇及び皇族は戸籍法の適用を受けず戸籍を持たないということ。代わりにその身分関係は(あえてこう表現)「皇統譜」に記録されるのだそうです。

就活(就職活動)という言葉が広まって久しいですが、就籍という言葉は知りませんでした。これは本籍が不明などの戸籍を持たない人が、家庭裁判所の審判を得て戸籍を増設する手続きのこと。まさに身分登録。

戸籍について深く考えたことはありませんでした。戸籍にまつわる様々なこと、権利や拠りどころであったり、場合によって社会的差別の温床になったりと、深いものがありました。興味がある人は是非ご一読を。
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  • 掲載日:2017/08/16
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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2017-08-16 09:40

    私は常々戸籍なんてやめてしまえばいいと思っています。そもそも戸籍なんて欧米にはありませんので。皇居に本籍地がある人が結構いるらしいですが、そんな制度にどのような意味があるのか不明です。戸籍があることにより、いろいろな手続きが煩雑化するし、自治体も維持コストがかかるし。無くなれば、財政赤字の削減にいくらかは貢献するのではないかと考えます。

  2. あかつき2017-08-16 12:24

    でも、「ファミリーヒストリー」とかで本籍地から新たな事実が!みたいなの見ると、ちょっと萌えるんですよねぇ(笑)。今後、檀家制度や氏子制度が消えていく世界では本籍地のみがルーツを知る手がかりになってくるかもしれません。
    因みにわたしの本籍地は、江戸時代から家業の見世が置かれていた場所です。今は月極駐車場にしちゃった場所だけど。

  3. kuori2017-08-16 14:49

    >本籍地のみがルーツを知る手がかり
    歴史研究でも戸籍は重要なので、電子記録として保存が進む中でも、戸籍原簿の保存は維持されてほしいのですよね。個人情報の問題で、研究目的で他人が取得はできないので、「ファミリーヒストリー」のように、一族からの希望でしか調べることはできませんが。
    欧州の国は戸籍がないといっても、教会や自治体・職業組合を含めた名簿が幾つも公的名簿として保存されているので、戸籍記録の保管しか日本にはないとも言えますし。

  4. 風竜胆2017-08-16 15:13

    >kuoriさん
    最近父が亡くなったのでそのあとの手続きをいろいろしている最中ですが、何につけても戸籍(父および私)を求められるので、頭に来ています。それも通常の戸籍ではなく原戸籍といって、普通は使われてないようなものまで。それも生まれてからずっとですから、結婚前の戸籍が別の自治体にあったりすると、それを該当自治体にわざわざ要請しなければなりません。それに加えて、ものによっては住民票の関係まで。これがまた同居していないと取得が大変です。要は、もっと簡単に手続きができるようにしてくれということですので。私は、住民票と統一してしまえばいいと思いますし、直系親族なら同居していなくても、それを簡単に取得できるようにするべきだと思うのですが。

  5. kuori2017-08-18 05:48

    >風竜胆さま
    相続手続きには、戸籍に記載されている身分関係の確認が元になるので、自治体をまたがると請求手続きの物量が煩わしいですよね。
    住民票と統一は、マイナンバーが振られたので今後手続きの点で検討されるでしょうね。現状の、住民票は生活手続き、戸籍は身分証明・相続手続き、の使い分けは電子オンライン化される前の時代としてよく整備された制度と思います。
    戸籍は夫婦婚姻で作成してからは、子の誕生や子が結婚などで戸籍から出ていく位なので、私は結婚時と出生時の2通請求しかしてないのですが、長命な親族の場合、何度も名簿の書き換えがされていて、どっちゃり写しが送られて、切手代もかかりました。
    それを見て母が、戸籍を現住所に移そうと言い出して、勘弁してと喧々やりました。
    現住所に移すということは、相続手続きの際に請求する写しが増えるので、妹たちも手続きが増えるだけだと。

  6. 風竜胆2017-08-16 15:30

    >kuoriさん
    戸籍は、移せば移すほど、後がややこしくなりますね。最新のものを取れば、それですべて用が足り、住民票も兼ねるというようになればいいのですが。今は、免許証にも本籍地が記載されないので、時々自分の本籍地の住所どこだったかなあと思います。普段はまったく意識していないのですが、こういうときになるとその煩雑さにうんざりします。
    まあ、平成の大合併のおかげで、これまで別の自治体だったものが、同じ自治体になったりしたので、多少は手間が減ったのですが。

  7. あかつき2017-08-16 15:35

    ╭(°A°`)╮≡╭(´°A°)╮←ついていけていない(笑)
    「戸籍がある」ということと、「戸籍を手続きに使用する」ことを別々に論議する必要があることがわかりました!

  8. 風竜胆2017-08-16 17:32

    >あかつきさん
    私の本籍地にしても、昔はそこに住んでいたこともありますが、その家は父の代に売ってしまったので、今はもう何もありません。そこが、本籍地だと言われても、なんだかなあという感じです。(ちなみに、本籍地を移すとkuoriさんの言われるような問題が生じてくるので、このまま永久に現在のままだと思います)
    ちなみに住民票の情報は、住所を変える度に、戸籍の付票というところに記録されますし、住民票の方には、本籍地(無記載もできますが)の記載もあるので、ある程度の連携はしています。これが普通の会社なら、すぐ一元管理をしようということになるだろうと思うのですが、日本国株式会社の場合は・・・(以下略)

    (追伸)
    allblue300 さんすいません。コメント欄を議論に使ってしまいました。

  9. allblue3002017-08-16 17:51

    ようやく追い付きました!
    意見交換の場になったようで(?)何よりでございます。風竜胆さんが締め括っているように、さすが大日本株式会社といったところでしょうか... 風竜胆さんとkuoriさんのやり取りを見ると、遠くない将来に煩わしいことが待っていそうで身震いします(−_−;)あかつきさん、行司(?)ありがとうございましたぁ!m(_ _)m

  10. 風竜胆2017-08-16 18:06

    >allblue300 さん
    私の場合、そのほかの事情もありましたので、途中から弁護士さんにお願いしましたが、ほぼ丸投げの状態なので、急に楽になりましたw
    ただ、全部自分でやろうとすると、かなり大変だろうと思います。親と同居ならまだ楽なのですが、遠くの地に別居していると、親が何をしていたかもよく分からないので、もう頭が噴火しそうになりますww
    一応自分がやらなければならないと覚悟した時に本を買って参考にはしているのですが、やはり実際にやってみると、分からないことが次々に出てきます。

  11. yuko2017-08-16 21:57

    私も仕事上、相続手続きに関わることがあったので、微々たる金額の手続きでも、生まれてからの全ての戸籍謄本を相続人の方に揃えてもらわねばならず…
    1度外国籍の方の手続きの時は本当に大変でした( °_° )
    本国から取り寄せてもらってさらに翻訳してもらうので。

    夫が亡くなった際、全部自分で手続き関係したのですが、若くして亡くなった人でも生まれてからの戸籍謄本全て揃えるのはなかなか大変です…

    でも、聞いたこともない名前の人が載ってたりするので、手続きは面倒でも、眺めるぶんには面白いですよ(´ー`)

  12. allblue3002017-08-17 06:56

    風竜胆さん、大変だったのですね^_^; 参考図書までありがとうございます!(^_^)

  13. allblue3002017-08-17 06:57

    yukoさん、さらに大変なところに異国語まで^_^; 大変な中でも楽しんでしまう姿勢は素晴らしい!(^∇^)

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