影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録





新選組を脱退したため篠原泰之進は命を狙われるが、一方、泰之進は師の仇と近藤勇を狙う。この狙い狙われる関係を影踏み鬼になぞらえて、新選組の実情を内部から描く新選組盛衰記になっています。
そもそも寄せ集めの会津藩の草莽の浪士団であった新選組が、禁裏の守護者、京の治安部隊として調停に認め…

本が好き! 1級
書評数:2211 件
得票数:30076 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。





新選組を脱退したため篠原泰之進は命を狙われるが、一方、泰之進は師の仇と近藤勇を狙う。この狙い狙われる関係を影踏み鬼になぞらえて、新選組の実情を内部から描く新選組盛衰記になっています。
そもそも寄せ集めの会津藩の草莽の浪士団であった新選組が、禁裏の守護者、京の治安部隊として調停に認め…





18年間、音信不通だった姉が結婚した翌日銃撃を受ける。瀕死の重傷を負った姉の過去を探る弟がたどりつくものが衝撃的
どうやら犯罪に巻き込まれた様子の姉と18年ぶりに再会した小児科医の押村悟郎ですが、姉は頭部に銃弾を…


時空を超えて過去の親父と会い、人生を見つめなおす。「メトロに乗って」「とも「流星ワゴン」とも違った劇団ひとり風の真面目な小説です。
雷に打たれてタイムスリップとは「イージス艦みらい(ジパング)」かって突っ込みを入れたくなるような安…




「不倫」女が「殺人」を犯し、「詐欺」師に付け込まれかけるが、結局2人は結ばれそう・・・というなかなか面白い構成の物語で、「犬」がすべての事件にかかわっています。犬好き必読かも。
まず登場するのはモデルとして鳴かず飛ばずだった草間都。ところが飼い犬をブログに挙げたことがきっかけ…



佐藤の処女作である4編からなる連作短編集。多感な3人の小中学生の感性のきらめきと切なさが瑞々しい文章で描かれます
表題作「サマータイム」は主人公の小5の進が台風の日のプールで左腕のない少年・広一に出会うことから始…




「人生の終わり」にまつわる家族模様がの掌編4作。相変わらず泣かせてくれます。
まゆみのマーチ 不登校の長男を抱えて悩む主人公。母親の死に際して妹のまゆみと久しぶりに再会。実は問…



前作「記憶の果て」の「エピソード0」的な作品となっているのでこれを読まないと話がさっぱり分からない。タイムスリップして1 8年前の世界を訪れた浅倉幸恵。この時代に彼女を生んだ母の正体に驚愕です。
本作は『記憶の果て』に登場した2人の女・浅倉幸恵と安藤裕子の物語であり、『記憶の果て』のプロローグ…



りっぱな大人になること。日中戦争直前のこの時代にしては平和主義的な内容であり、チャレンジ作品と思われます。中学生に読ませる道徳の教科書にちょうどいいような内容となっています。
1937年初出版のです。このころはちょうど盧溝橋事件が勃発しており、この後日本としては日中戦争、太平…




題名から想像できるように甲子園を目指す高校球児物語。しかし主人公は38歳のおっさんだし、プレイシーンはほとんど出てこないし・・。そして感動家族ドラマになっています。
主人公は東京の出版社で働いている38歳男性。妻は大学で研究者をしており、ボストン暮らし。小学5年生…




与謝野蕪村と丸山応挙の交流を軸に、彼らの周りで起きる様々な恋愛模様を描きます。蕪村は俳諧師ですので至るとことに美しい俳句が並べられている大人の恋愛小説。そして与謝蕪村の老いらくの恋の結末が白眉です。
恋時雨とは「時雨のように恋情が断続的に高まる様子」を比喩的に表現していると思われますが、京都の文化…




里帰り出産する主人公。しかし居心地がいいはずの実家は様変わりをしていて不穏な雰囲気。出産の不安と家族の間の謎の事件のはざまで無事に出産できるのかという近藤のイヤミス。
真面目な夫と結婚し、子供も授かって幸せいっぱいの主人公・遼子。しかし初めてのお産を迎える時期に、突然…




理想と現実との乖離に不満と不安を持ちながらも折り合いをつけて生活している私たち。これが大きくなると鬱になったり、自殺したりすることになるのでしょうが、何とか踏みとどまっている危うい人々の物語です。
犯罪小説で、そこに至る動機部分を語る場面で、多くの人々が人生にやりきれなさを語ります。そのギリギリの…





通読する間に5回は泣かされました。人情親子物語の名作です。読み始めるときには傍にバスタオルを用意してください。
これまでの重松作品の中で一番好きです。息子が生まれて成長し、孫が生まれるまでの約30年の親子関係を…


サタミシュウ=松久淳のカミングアウトにはびっくり。作風が違い過ぎるでしょう。本書は「松久淳色」が強くてエログロサタミファンにはがっかり魔も。
本書は、松久淳『彼女が望むものを与えよ』を著者名をサタミシュウに変更のうえ、文庫化したものだそうで…





紀元1-3世紀に九州北部にあったとされる弥摩大国。この国が大陸と交易するに際して活躍した使譯(通訳)の「あずみ」一族9世代の眼を通して語られる大河ドラマです。
「三度の海峡」で日韓の交流と歴史観を描き、「国銅」で奈良時代の日本人の文化生活を描いた帚木が、更にス…




華の娘の杏ちゃんが三雲家が泥棒一家だと気が付き気持ちが揺れ動く中、元警察官が殺害される事件が起きスランプの美雲が復活するという、バタバタ感を背景に巨悪に 立ち向かうエンタメになっています。
「ルパンの娘」シリーズ第4弾、泥棒一家と警察一家の間に生まれた杏が自分の身内の特異さに気が付き始め、…




『ルパンの娘』シリーズ第三弾。探偵の娘として育てられた北条美雲が、新人警察官とは思えない活躍を見せる一方で、ルパンの息子である三雲渉を運命の人だと猛アタックをします。
泥棒一家、警察一家、探偵一家が三つ巴で家族になるという複雑なバックグラウンドの中、3者にとってラスボ…




ほのぼの家族愛作家の重松にこんな殺伐としたミステリが書けるなんて…。7年前におきた中学校における無差別毒殺犯が娑婆に戻ってきた。再び巻き起こる悪夢に巻き込まれた息子を父親は救えるのか?
いつもの重松小説は一線を画す、先が読めないサスペンスになっています。 主人公の清水芳明は40歳…




皇室VS幕府の内戦であった承久の変は、3代将軍源実朝が暗殺され、その首が行方不明になった事件が緒端であったという説に基づき、鎌倉幕府内の権力争い北条政子の暗躍について解り易く、面白くが足られます。
日本史で習った「承久の乱」では、その敗者の後鳥羽上皇は隠岐に流されて、あまり評価されていませんが、…





短編で心を揺さぶるのは至難の業。薬丸はそれをこともなくやってのけます。しかもアッと驚く逆転のラストも添えて。日本推理協会賞受賞は伊達ではありません。
現代社会にありがちな社会問題、パラサイト、レイプ性犯罪、外国人労働者、そして医学の進歩により永らえる…