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物語の里程標のような話

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • 風の挽歌―グイン・サーガ(67)
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  • 出版社:早川書房
風の挽歌―グイン・サーガ(67)
表紙がタイトルに名を冠している主人公のグインですが、44巻で誘拐された皇女シルヴィアの行方を求めてアルセイスから単身で姿を消して以来、二十巻以上主人公不在のまま巻を重ねていたという。
もちろんほぼ交互に出ていた外伝の方でキタイでのグインの活躍は伝えられていたが、ケイロニアの面々のようにただ待っているだけの身としては長い日々だっただろう。

シルヴィアと一緒に誘拐されていたマリウスの帰る場所であったトーラスの町角から話は始まります。
トーラスの下町の居酒屋である「煙とパイプ亭」が、マリウスが妻のタヴィアを残していった場所だった。
居酒屋の主人であるゴダロは老齢と戦禍で失明したこともありご隠居状態だったが、その妻のオリーの作る肉まんじゅうは近所でも評判の看板メニューだ。
店の切り盛りは次男のダンが黙々とこなし、ダンの妻のアリスとタヴィアが店を手伝って賑わっている。
タヴィアとマリウスの間の娘マリニアを可愛がりながらも忙しい日常が過ぎていく様子がうかがえる。

そこへ前触れもなく開店前の扉が叩かれ、マリウスの声が朗らかに帰還を告げる。
涙の再会のシーンが繰り広げられたのち、夜陰に紛れてグインがゴダロに会いに来た。
ゴダロとオリーの長男オロが遥か昔スタフォロス砦で亡くなった時の様子を語るために。
グインが初めて出現しパロの双子と出会ったルードの森、そしてモンゴール軍にとらえられて牢に入れられていた所で出会ったイシュトヴァーン。
運命の輪が回り始めて物語が始まった時を回想するかのようなエピソードが語られます。

三人目の息子と呼ぶマリウスの帰還と亡くなった息子からのメッセージ、そして突然すぎる別れと新しい命への希望とまるでジェットコースターのように揺れるゴダロ一家ですが、トーラスの下町の居酒屋がここまでクローズアップされ続けるのも面白い。
今後再びこのゴダロ一家がストーリーに絡んでくることはあるのだろうか。

そしてマリウス一家を同道してのケイロニアへの旅立ちとなったグインとシルヴィアだが、迎えに来ていたケイロニア軍と合流し、ひたすらサイロンを目指すことに。
ここで一番の問題は最下層の娼婦も顔負けの罵声を浴びせ続けるシルヴィアのご機嫌だというのがなんとも笑うしかないところ。
サイロンへの帰還を目前に次巻へ続く。
  • 掲載日:2026/04/17
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