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DBさん
DB
レビュアー:
剣を手に世を渡る冒険物語
上下巻通しての書評です。

デュマの名作を久しぶりに再読しました。
子供の頃に読んだのは青い鳥文庫だったかと思いますが、何度も繰り返し読んだ記憶がある。
当時はダルタニャンさえ大人に思える年頃でしたが、大人になっても読んでいて引き込まれる面白さがありました。
人物描写に加え、時代背景、ストーリー展開に語り口と物語としてすべてがしっかりしているからだろう。
デュマが盗作疑惑で問題になったときに、「盗作はしたが、オレが書いた話の方が面白い」と言ったとか。
まあその通りかもね。

主人公のダルタニャンは、ガスコーニュの田舎からパリに出てきた若者です。
当時のパリは絶対王政に向けての下準備中といったところで、リシュリュー枢機卿が権力を握りまだ若い国王としては面白くない。
それを反映して国王の銃士隊と枢機卿の護衛士とが競い合い血を流してまで争っているところだった。

鼻っぱしの強い青年ダルタニャンは銃士をめざして隊長トレヴィルの屋敷に伺候するが、さっそく銃士たちと決闘する羽目になってしまう。
その相手こそ、三銃士と呼ばれるアトス、ポルトス、そしてアラミスだった。
決闘が護衛士を相手にした大乱闘に発展し、そこで三銃士と無二の友情を得るダルタニャン。

そこから王妃の恋とダイヤの飾りを巡る陰謀に翻弄され、英仏をまたがる冒険へと飛び出していく。
謎の女ミレディーとの複雑な関係や、王妃の小間使いであるボナシュウ夫人との恋愛も含めてダルタニャンの行動から目が離せません。
恋にも仕事にも命懸けな若者の活劇に、主人公と負けず劣らず魅力的な三銃士の活躍も見のがせない。

僧侶志望ながら艶聞にことかかないアラミスや、貴族然としたアトスの過去の話も出てきます。
一番単純そうで、実は謎が多いのはポルトスだったりして。
小金持ちの細君を相手にした彼の恋愛事情はコメディ風で面白い。

後半はラ・ロシェルの攻囲戦を中心に展開していきます。
初陣と張りきってダルタニャンの戦いぶりに、ミレディーとの対決もありスリルいっぱいだ。
最初は敵のように思えたリシュリュー枢機卿も、実はフランスのためにという一点においては曇のない人物だった。
恋は悲恋に終わり三銃士とも別の道を歩むことになる最後だったが、大人になったダルタニャンの今後の活躍に期待したい。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. jet2020-09-25 21:03

    懐かしいです。アトス、お洒落ですよね。

  2. DB2020-09-25 22:04

    男の美学とはアトスのためにあるような言葉ですね。

  3. jet2020-09-25 22:45

    "merce a voi,gentil si gnora." 失礼。e’の言葉が出ません。

  4. DB2020-09-25 23:19

    Je vous en prie...仏語とったんですけど、日常会話もままなりません

  5. jet2020-09-25 23:35

    専攻したんですね。これは、アルフリードがヴィオレッタに捧げたもの。途中でヂュエット、カルテットが入り、序幕から最終章まで3時間。よく分からないけど、いいものです。

  6. No Image

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