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ぽんきち
レビュアー:
「パンタナールに生まれ、パンタナールに育ち、パンタナールに還る」
動物写真家・岩合光昭による写真集。
パンタナールはラテンアメリカのほぼ中央に位置する広大な熱帯湿地帯である。
1年の半分は雨季で川が氾濫して一帯は水に浸かる。そのため、開発が進まず、豊かな自然が守られている。とはいえ、近年は少しずつ人が入り込むようになってきている。特に、ジャガーをはじめとする野生動物を見に、観光客も集まるようになっているという。

驚くほど透明な川を泳ぐ魚たち。
道路にたまった雨水に集う色鮮やかなチョウ。
飛び交うアマツバメやコンゴウインコ。
おっとりした外見からは思いもつかぬ俊敏な動きをするカピバラ。

豊かな自然に包まれた生きものの楽園のようにも見えるが、しかしまた同時にそこは、生きるための熾烈な戦いの場でもある。
一瞬の隙を突いて、ジャガーがパラグアイカイマンに襲い掛かる。
フサオマキザルが樹上から落とす食べ残しを地上でアグーチがあさる。
ササゴイが捕らえた魚を丸呑みにする。

食べるものがいれば、食べられるものがいる。
誰かにとっての幸運は、誰かにとっての不幸である。
それらすべてを包み込んで、パンタナールの時は流れる。
パンタナールに生まれたものは、パンタナールで大きくなり、パンタナールで死を迎え、パンタナールの地に還っていく。
豊かな濃い緑は、豊かな水がもたらすもの。川辺で、草むらで、生きものたちの日々の営みは続く。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1826 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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この書評へのコメント

  1. noel2021-05-26 11:42

    文章を読むだけで、情景が浮かんでくる書評でした。

  2. ぽんきち2021-05-26 12:39

    ありがとうございます(^^)。
    すばらしい写真集なので、機会がありましたらご覧いただければ。

  3. No Image

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