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休蔵さん
休蔵
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ルパンⅢ世を知っている人は多いと思いますが、その大元のアルセーヌ・ルパンのことはどれだけ浸透しているのでしょうか?ぜひ、スタート地点から一緒にを楽しみましょう。
 小学生の時、江戸川乱歩シリーズの延長で手を出したアルセーヌ・ルパンシリーズ。
 当時、なかなか読み進めることができなかった。
 フランスという慣れぬ舞台のせいなのだろうか。
 それとも「ルパンⅢ世」の面白さに引き離されすぎたせいだろうか。
 どのような理由にせよ、小学生の私にアルセーヌ・ルパンはヒットしなかった。
 しかし、ここにきて書店に並ぶルパンに惹かれてしまった。
 なぜだろう?
 そんな疑問を持ったまま、本書を開いてみた。

 本書は、多くの方がご存じのアルセーヌ・ルパンシリーズの第1作目になる。
 作者のモーリス・ルブランは、当初短編の1作としてルパンを書きあげたに過ぎないという。
 売れない作家ルブランは、友人の出版社社長から「創刊されたばかりの絵雑誌に「何かおもしろい冒険小説を」」という要請を受け、短編「アルセーヌ・ルパンの逮捕」を生み出したそうだ。
 そう、ルパンシリーズの最初は、なんと逮捕劇から始まるのである。
 意外だった。
 この短編が人気を博し、生涯にわたるルパンシリーズの創作に繋がるそうだ。
 この時、ルブラン41歳と、なかなかの遅咲きである。
 
 本書は5つの短編からなる。
 最初が「大ニュース・ルパンとらわる」だ。
 ルパンの「ル」の字も知られていない第1作目で、「あのルパン、逮捕!」という大胆な着想。
 「誰!?」とならなかったのだろうか?
 むしろ、この謎に満ちたところがよかったのかもしれない。
 
 短編を重ねるごとに、意外にもルパンの生い立ちや身の上が多く語られていく。
 そして、なぜ彼が怪盗紳士として振舞うのかも。
 ルパンについての語りはルパンによってなされる。
 第4章目の「奇怪な乗客」では、ルパンが作者モーリス・ルブランのマンションを訪ね、事件の真相やその背景事情について雄弁に語ってくれる。

 第1巻目にして、さまざまな趣向を凝らし、ルパンの存在をフランスに知らしめることに成功したルブランは、人気作家の仲間入りを果たす。
 その影響は日本にも及び、日本語としての翻訳紹介は明治42年にさかのぼるそうだ。
 当初、「怪盗ルパン」はルブラン原作、南洋一郎文となっていたそうだ。
 単純な翻訳ではなく、少年少女のために大幅な書き換えがなされたためという。
 現代ではなかなか考えられない手法であるが、このおかげで日本の少年少女の間でもルパンが活躍することになったのであろう。

 時代は、大正、昭和、平成そして令和と移り変わり、生活環境も様変わりした。
 電子媒体の中をルパンが活躍するようにもなった。
 ルパンの第Ⅲ世も生み出され、江戸川コナン君ともコラボしてしまうはちゃめちゃ感。
 そんなこんなも、1人の作者が稀代のヒーローを生み出してくれたおかげだ。
 ポプラ社のルパンシリーズは全20巻ある。
 相当楽しめそうだ。
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:449 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2020-01-06 07:54

    そうなんですよね。
    私もポプラ社の南版ルパンを読んで育ったクチなのですが、南洋一郎さんのルパンは、結構改変されている作品が多いので、そのあたりの読み比べもファンには美味しいポイントだったりしますw

  2. 休蔵2020-01-06 21:15

    かもめ通信さん、コメントありがとうございます。
    古典的翻訳名作は読み比べが楽しいですよね。
    そう思うと、楽しみの幅はとんでもなく広がりそうです!

  3. No Image

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