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はなとゆめ+猫の本棚
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美しい老人の恋は、一般の人には生まれない。それができるのは、セレブの人達だけ。
 大女優岸恵子が書いた、老年に近い男女の恋を描き、大反響を巻き起こした渾身の恋愛小説。

 もちろん、老いらくの恋というのはある。しかしそれが生まれるのは老人ホームだったり、ゲートボール仲間だったり、一般老人の恋は「いい年こいて」と蔑まれ、あまり小説の材料にはならない。

 成熟した人たちの恋は、地位も極めて、お金もありあまる人たちの恋でないと物語は作れない。

 この作品も、主人公のドキュメンタリー作家の伊奈笙子69歳。お相手は20万人の従業員を抱える超大企業の専務、後副社長になる九鬼兼太。笙子には、亡くなった夫との間に生まれた娘テレッサがいる。テレッサは夫フランス人とともにパリで暮らす。

 一方九鬼には妻を子供もいる家庭がある。

 最初の出会いもパリに行く飛行機の中。当然ファーストクラス。そこから恋が始まる。
私も、主人公とほぼ同い年。平凡な会社生活を送って、今になって恋愛が始まる環境でもないし、とても恋愛をしてみたいという気持ちにはならない。申し訳ないけど、70歳を超えた女性を抱いてみたいなんて気持ちになることは想像がつかない。

 東京で、横浜で、パリで、ウィーンで、プラハで、とろけるような食事をして、めくるめくような恋をする。

 驚くのは笙子の娘テレッサの誕生パーティーをすると、ドアが叩かれ、ドアを開けると、招いてもいないのにそこには九鬼が立っている。時間を作ってわざわざパリまで来る。パリがセレブにとっては、ちょっとそこまでという感覚なのである。

 更にびっくりしたのは、上海でであった2人は、ホテルの出迎え、送迎には上海支店長と秘書を使う。同じことはパリでも行われる。
 不倫旅行に自分の会社の社員を足として使う。大会社の専務となれば、こんなことが許されるのか。しばし、自分のいた会社の専務、副社長の顔が浮かぶ。

 まったく溜息がでてばかりの小説だった。

 ちょっと調べた。もちろん主人公は岸恵子だろうが、お相手の大企業のモデルはデンソーの
副社長さんとのこと。
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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6217 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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参考になる:20票
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