東ドイツという国は第2次大戦でドイツが破れ、ソ連が占領した地域に建てられましたがソ連崩壊とともに国が消えて西ドイツと統一されました。
その東ドイツの歴史を、一般向けに解説したものです。
第1章独裁への道、第2章1950年代、第3章壁の影での安定化、第4章ホーネッカー時代、第5章最後の10年間、第6章ドイツ統一への道のり
という構成になっています。
私が物心ついた1960年代にはすでに東西ドイツはそれぞれ確固とした国家と言えるものだと思いましたが、それからあっという間に終わってしまったことになります。
しかし、東ドイツというものについてそれほど知識もなかったため、この本に書かれていたことは初めて知ったことが多いと感じました。
まず、東ドイツにソ連の影響下の社会主義国家ができたというのが、終戦後すぐではなかったということも知りませんでした。
ソ連支配下でもそれまでの各種政党が存在しており、その中でその後独裁するSED(ドイツ社会主義統一党)が特別というわけでもなかったようです。
しかしソ連が東ヨーロッパの社会主義国家化を進める中で圧力をかけてSED独裁を成し遂げました。
初期の最高権力者がウルブリヒト、その名には何となく覚えがあります。
そして1971年にソ連と協調してウルブリヒトを解任し後についたのがホーネッカーでした。
実にその30年余の歴史で最高権力者というのは2人だけでした。
ベルリンの壁が壊された時のことはよく覚えていますが、作られた時というのはさほど記憶にはなかったのですが、それが1961年のことだったというのも、意外に新しいと思えるものです。
それまでは東西の住民が相互に行き来できていました。
それから30年の間、それを越えようとして殺害された人々が多数いました。
ソ連がペレストロイカの果てに崩壊しようとしていた時、まだ東ドイツは社会主義にしがみつこうとしていました。
しかし住民たちは西側へ逃れようとしていました。
1989年2月、クリス・ギュフロイという青年が友人と二人で、もう越境脱出者の射殺命令は停止されたという噂を聞き、東ベルリンから西に逃れようとします。
しかしその噂は嘘で、まだ射殺命令は生きており、一斉射撃の末にクリスは殺されました。
クリスがSEDの国境警備体制下での最後の死者となりました。
歴史というにはまだ記憶に新しいものですが、それで多くの人が苦しみ死んでいったということでしょう。
そして今でも新しい歴史が作られています。
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