タイトル通り、日本料理、和食の歴史、日本人はこれまでにどんなものを食べてきたのか? について綴った本です。
まず、冒頭、和食って何か? から始まります。
今や日本人の国民食とも言われるラーメンやカレーライスって和食ですか? と聞かれたらどう答えますか? どちらも日本で独自の進化をしてきた料理には違いないのですが、これらは和食か? と問われると「う~ん、それはちょっと……」とためらってしまう方もいるのではないでしょうか? 私も、これらが和食か? と聞かれたらちょっと違うかなぁという感覚があります。
じゃあ、一般に三大和食と言われることもある、寿司、天ぷら、すき焼きなんかは和食ですか? 「それは和食でしょう」という方の数はラーメン、カレーライスよりは増えそうですが、ただ、これらは日本で独自に生まれたものか? と言われるとそうじゃないということにもなりそうです。
寿司(多くの始まりはなれ寿司のようなものだったと思われるということですが)はどうも中国あるいは東南アジア辺りから伝来した保存食だという見解も強いようです。
天ぷらは16世紀頃にポルトガルから伝わった食べ物とも言われますし、すき焼きに至っては明治時代に肉食解禁となった際に日本風にアレンジされた肉料理であって、たかだか明治頃からの歴史しかないけれど……とも言えそうです。
というように見ていくと、そもそも和食って何? ということになってしまうわけで、本書はじゃあ日本人ってこれまでにどんなものを食べてきたの? ということで、その歴史をたどっていきます。
様々な時代に食べられていた料理を再現したモノクロ写真も添えられているのですが、どうも、私的にはもっそりとした、なんだか汁気の少ない料理が多いなぁという印象を持ってしまったのですが、これはたまたま?
その結果、どうも典型的な和食と言うことになると、米、汁もの、野菜、魚辺りを中心とした料理、それが洗練された懐石料理、そしてそれを一般化した会席料理辺りになってくるのかなぁという感じであります。
こうなると肉料理は和食からは外れてしまうことになるんですかね?
本書ではそのような食の歴史に加えて、料理書などの紹介もあり、そこからさらに広げて、今で言えばグルメ本のようなものにも目を配っていきます。
各地の名物料理を紹介したり、名店と言われる店を紹介したような本が出されていたそうで、この辺りは今も昔も変わらないなぁという感じもしました。
また、食文化というものはなかなかに強固なもので、例えば明治頃に欧米に派遣された日本人(岩倉使節団とか)は食に大変苦労したらしいです。とにかく慣れない西洋料理はなかなか喉を通らなかったとか。逆も言えるようで、欧米から来日した人達にとって、当時日本で食べられていた食べ物はどうにも食えたもんじゃないという面もあったようです。
そういう時代を経て、和食化されていった西洋料理というものも生まれたのでしょう。
読み終えてみて、結局、和食らしい料理というイメージは形作られはするのですが、もうこうなったらラーメンもカレーライスも(もちろん、寿司、天ぷら、すき焼きも)全部和食で良いんじゃない? という気もしてきちゃったのです。
その料理が食べられるようになってからの時間の長短やもともとの歴史はありますが、日本で独自に進化した、日本人が好んで多く食べている料理はみ~んな和食でも良いというのもあながちおかしな考え方ではないのかもしれません(『和食』という言い方に抵抗があるのなら『日本食』的なものということで……『和食』と『日本食』という言い方にニュアンスの差を感じませんか?)。
ただ、一つ言えそうなことは、日本ってやっぱり米文化で、米は長く日本社会や日本文化の基盤であり、日本的な料理の基礎をなすものだということは間違いなさそうであります(「米に合うか?」という観点も日本的な料理の発展には影響が大きかったんじゃないですかね? ……その点、カレーライスは見事に合った!)。
また、和食の典型的な一つのスタイルとも言える一汁三菜的な料理、特に魚を今の日本人(特に若い人達?)はあまり食べなくなっており、これはちょっと残念でもあり、魚って美味しいんだけどもったいないなぁという気持ちにもなりました。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)/281ページ:2026/04/07
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