窪美澄さんの『宙色のハレルヤ』を読みました。6篇の短編集です。人間関係ってままならない、思う通りにならないから切ないなっていう風に感じました。
『海なり遠くに』は同性愛カップルの話。
恵美は「自分は普通」と信じて結婚したが夫とは死別。夏の間だけ過ごすと隣に来た絹香に惹かれ、深い仲になる。だけど「女が好き」という本当の自分認めるのが怖い。そう思っている間に夏は終わってしまった。
『風は西から』は“ほのかな想い”の話。
高校生の陸は勉強、部活、家事に忙しい。シングルマザーの母の頼みで、はとこの桃子さんが家事手伝いに来てくれた。夏休みの間だけという約束。強がって「ひとりでやれるのに」と反発する陸だったけど、失恋も経験して自分の気持ちに素直になっていく。桃子さんは年上で恋愛対象外(のはず)だけど、いなくなるのはちょっと寂しい。
『パスピエ』は女に裏切られた男の切ない話。
ストーカーに追われていると言う中野さんは、突然、僕(板倉)のアパートにやってきた。行きつけの居酒屋でアルバイトしている女の子。関係は深まり、僕はもう「どこにも行って欲しくない」って思う。ところが中野さんには秘密があって、意外な結末で去っていく。
『天鵞絨(ビロード)のパライゾ』は結婚と友人関係の比較。
アトリエに勤める私は、インテリアのことで気が合ったYと付き合うようになり結婚。「家柄が違いすぎる」と言われたけど、Yは愛してくれている。だから仕事も家事も頑張ったのに、どうして急に冷めてしまったの? 離婚した私を男友達のユーシュンが見守ってくれる。
ほかに『赤くて冷たいゼリーのように』『雪が踊っている』を収録。
なんだかモヤっとした読後感。「結局、あの二人はどうなったの?」「あれで救われたと言えるの?」という疑問が残ったままです。心に棘が刺さったようで、ちょっと切なく、ちょっと痛みを感じる。でも、人生なんてそんなもので、スッキリしないことの方が多いのかもしれない。
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