人気シリーズ第1弾。猫をこよなく愛する人気6人の作家による競作集。どの作品もそれなりに面白いが秀逸だったのが、石田祥の「ツレ夫婦」。
主人公は精密機械メーカーに勤める広田七緒。マッチング アプリを使って、結婚相手を探していたがどれも不調に終わり、気が付けば35歳になってしまっている。家にやってきた迷い猫ドレミを含めて猫を3匹飼っている。
そんな時叔母から男性を紹介される。相手は会計事務所に勤める加納克己39歳。会計士でバツはなし。
で、喫茶店で会うことになる。最初は釣書きのような会話をする。しかし、背も高く顔も悪くないし、性格もよさそう。この人でもいいかなという気に七緒はなる。
次のデートは猫カフェ。七緒は、猫は好きだが、映画とか食事とか普通のデートをしたかった。そして会ってびっくりしたのだが、着ているTシャツ、ズボン、靴にもすべて猫がプリントされていて、猫づくし。いくら猫が好きでも異常。そして会話も猫の話ばかり。克己にも3匹の猫がいて、七緒にも3匹。猫6匹で暮らすことは楽しそうと。
次に会った日。七緒は克己に「猫が好きなのは私も一緒だけど。もっと他の話や他のデートをしたい。それで克己さんとは無理みたい。」
克己も「こんな話ばかりなので、今まで会った女性から断られました。仕方ないですよね。」それで2人は別れる。
ある日、叔母さんから連絡があって、克己が高熱をだして、ずっと仕事を休んでいる。様子を見に行ってほしいと。七緒は自分の猫ドレミを連れて、克己の家へ行く。
克己は高熱をだしていて、意識もしどろもどろで、そのまま眠る。ドレミはピアノの上にちょこんと座る。ドレミに克己の猫3匹がじゃれあい楽しそう。
猫の便所も高熱の中克己は猫砂を取り除き新しい砂に入れ替えている。こんな中でよくここまでの世話をしたものだと感心する。部屋はきれいに片付け清掃されていて、清潔。冷蔵庫もキッチンも整理整頓されている。猫のことしか興味ないような克己だけど、克己はきちんとしている。克己と結婚してもいいなという気持ちが膨らんでゆく。この人だったら。猫が取り持つ縁。
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