『星新一YAセレクション6』(理論社)。
表題作である「あるスパイの物語」をはじめとして、15篇の「ショートショート」が収められた、YAすなわちヤングアダルト向けの児童書。
ちなみに、「ヤングアダルト」は子供と大人の間の世代を指す言葉で、13歳頃から19歳頃までの若者のことをいいます。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
この巻を読み終わって、あれ? と少し違和感を覚えました。
何か忘れ物をしたような、そんな感じです。
しばらくして、その原因がわかりました。
この巻には「宇宙人」が登場しないのです。
もちろん、この巻でもウィットに富んだストーリーの展開だとか予想外な結末など、星新一さんの魅力が十分味わえるのですが、「宇宙人」が出てこないと少し寂しくなります。
「宇宙人」は登場しませんが、「権利金」という作品では幽霊だったり「お願い」という作品では悪魔や天使が登場したりします。
でも、「宇宙人」がいないと、まるで和田誠さんの絵がない星さんの作品集みたい。
その反面、少し長めのショートショートである表題作の「あるスパイの物語」や「陰謀団ミダス」、それに「ミドンさん」はしっかり読ませる作品に仕上がっています。
たまにはこういう編集もあってもいいではないかな、と星さんが「宇宙人」に囲まれてしたり顔しているようにも思えます。
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