セアラ・オーン・ジュエットの短編に、バーバラ・クーニーが絵をつけた。訳は石井桃子。
主人公の少女シルヴィアは、気難しい老牝牛を追って、日がな一日歩き回る。彼女は山のことは誰よりもよく知っていた。
この地、ニューイングランドの荒れ地では珍しいといわれる白さぎを追ってきた青年に頼まれて、彼女は、鳥の巣をみつけようとするのだが……
うっそうとした森は恐ろしいよりも、たくさんの隠れ家を差し出して親しげにみえる。木々の湿ったにおいがしてきそうで、深呼吸したくなる。
シルヴィアが祖母と暮らす家は素朴だったが、清潔で住み心地がよかった。
こうした背景の心地よさは、そのままシルヴィアが身にまとう(衣類の外側にある)見えない衣装のように思える。
シルヴィアの前に現れる白い鳥は、暗い森を背景に、なんて明るいのだろう。
シルヴィアの目、シルヴィアの足で、わたしもシルヴィアと一緒に鳥を追いかけていたのに、いつのまにかシルヴィア自身を追っていたことに気がついた。
この地になじみ、居心地よく暮らし、でも色が滲んでまじりあう、ということはなく。孤高に白い鳥はシルヴィアそのものだ。
世の中がどのように変わっていこうとも、流されることもなく、気負うこともなく、彼女は、心のままに、白い鳥で居続けるに違いない。
この先、どこに暮らすとしても。誰と暮らすとしても。
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